北九州市門司区松永文庫にて松永武室長(2011年11月25日撮影)

北九州市門司区松永文庫にて松永武室長(2011年11月25日撮影)

2022.4.02

原点~北九州と高倉健さん 番外編

2021年に生誕90周年を迎えた高倉健は、昭和・平成にわたり205本の映画に出演しました。毎日新聞社は、3回忌の2016年から約2年全国10か所で追悼特別展「高倉健」を開催しました。その縁からひとシネマでは高倉健を次世代に語り継ぐ企画を随時掲載します。
Ken Takakura for the future generations.
神格化された高倉健より、健さんと慕われたあの姿を次世代に伝えられればと思っています。

ひとしねま

長谷川容子

2014年11月に83歳で亡くなった高倉健さんのメモリアルイベント「健さんに逢いたくて」(毎日新聞社などの実行委員会主催)が翌15年11月15日、北九州市小倉北区の北九州国際会議場で開かれました。このイベントの事前に西部本社版にて掲載された特集の最終回。高倉さんの原点ともいえる北九州での足跡を振り返ります。全国では蔓延防止等重点措置も解除されました。旅情も感じてもらいたいと再掲載しました。
*()内の年齢は掲載当時のもの

高倉さんの北九州での足跡を追った連載「原点~北九州と高倉健さん」に盛り込んでいないエピソードを、番外編として紹介する。

◇新しい服が嫌

「洗いざらしが好きなんですよ。革のジャンパーもジーンズも新しいのが嫌で、わざわざ汚したり、着古した感じにしたりして着ていた」。門司区在住の映画プロデューサー、田中壽一さん(81)は「居酒屋兆治」「駅STATION」など4本の映画と多数のCMで一緒に仕事をした高倉さんの素顔について語る。

◇撮影前に日焼け

「撮影の1カ月前になると必ずロサンゼルスの小さな定宿に行くんです。あの人、実は色白でね。屋上のジェットバスに入って日焼けして準備するんです」。高倉さん主演の映画は、キャスティングに苦労しなかったという。「どの俳優も出演をOKしてくれる。現場での健さんの姿勢は映画界で評判だったから、みんな安心して飛び込んできちゃう。亡くなっても毎週のように出演作品が放送されているのは健さんだけ。若いころは不遇な時代もあったが、幸せな役者だと思います」

◇気軽にサイン

田川映画愛好会事務局長、重藤哲男さん(75)=田川市桜町=と、同会顧問、山北晴美さん(82)=川崎町田原=はともに元川崎町役場職員で、広報編集委員として1971年、町内であった「日本女俠伝 血斗乱れ花」のロケを取材した。主演は富司純子さん。高倉さんは撮影の合間に公民館に休息に来て、昼休み中の役場職員に囲まれると気軽に写真撮影やサインに応じていたという。「リラックスした感じでした」と重藤さん。山北さんは「当時はカメラを持っている人が少なかったから貴重な記録になった」と懐かしむ。

◇これでまた火がついたね

門司区西海岸の映画芸能資料館「松永文庫」の松永武室長(80)は11年秋、門司港もロケ地となった映画「あなたへ」の撮影の合間に、同文庫を訪れた高倉さんを案内した。高倉さんは40分近く松永さんと映画について語り、松永さんが長年かけて切り抜いてきた新聞記事のスクラップに見入って「これでまた火がついたね」と言葉を漏らした。松永さんは「帰り際、『また会いましょう』と声をかけてくれた。多くの人に愛された映画の職人を、資料を通じて語り継いでいきたい」と話す。(15年11月15日 西部本社北九州版紙面より)

松永文庫
https://www.matsunagabunko.net/
福岡県北九州市門司区西海岸1-3-5
徒歩で
JR門司港駅より                    約5分
関門連絡船「門司港桟橋」より 約4分
車で
関門自動車道「門司港IC」より       約7分
北九州都市高速「春日ランプ」より 約5分
九州自動車道「門司IC」より        約8分
​※当館専用駐車場はありませんので、
​ お近くの有料駐車場をご利用ください。

ライター
ひとしねま

長谷川容子

毎日新聞記者

カメラマン
ひとしねま

佐藤敬一

元毎日新聞記者

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