2022年もはや7月。上半期の映画界では、新作に加えてコロナ禍で延期されていた作品がようやく公開され、ヒットも続発。映画館のにぎわいも戻ってきた。ひとシネマ執筆陣が5本を選び、上半期を振り返ります。
2022.7.08
望郷の思いに涙、涙「ベルファスト」 宮脇祐介
①「ベルファスト」(ケネス・ブラナー監督)
②「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)
③「はい、泳げません」(渡辺謙作監督)
④「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督)
⑤「カモン カモン」(マイク・ミルズ監督)
ハリウッド大作は〝殿堂入り〟
「トップガン マーヴェリック」と「ゴーストバスターズ/アフターライフ」「スパイダーマン:ノー・ウエイ・ホーム」「THE BATMANザ・バットマン」は殿堂入りということでここでは割愛。
「ハケンアニメ!」 ©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
⑤男やもめのラジオジャーナリストがおいっ子によって家族と世界をつなげ直してゆく。もつれた糸の玉がそれぞれ1本の糸に解けていくような、そんな後味が良かった。④1年の同じ1日だけをさかのぼっていく仕掛けを、何の説明もせずに「丁寧に」成立させた松居大悟監督の力量に敬服。③登場人物がみな、どこか欠けていて、主人公がただ1点、泳げるようになることで全てが前向きに変わる物語が好ましい。②人々が前向きに仕事に取り組む姿に、おえつするほど感動。涙を何度も何度も絞り取られた。①あれだけ憎んでいた故郷・北九州市若松区に帰りたくて仕方がなくなるほど、望郷の念をかき立てられた。
シネマの週末 この1本:「ベルファスト」 輝く日常むしばむ暴力
藤原帰一のいつでもシネマ:「ベルファスト」北アイルランド紛争で失われた楽園と平和への思い