©️2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

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2022.5.06

新しい流行を作るインフルエンサー「オードリー・ヘプバーン」

誰になんと言われようと、好きなものは好き。作品、俳優、監督、スタッフ……。ファン、オタクを自認する執筆陣が、映画にまつわる「わたしの推し」と「ワタシのこと」を、熱量高くつづります。

青山 波月

青山 波月

現在進行形の伝説、オードリー・ヘプバーン

 平成生まれの私にとってもオードリーは小さい頃から憧れの人だ。
もちろんオードリーが出演した作品は全て私が生まれる前に製作されたものだが、幸いにも私は幼い頃から何作も見る機会があった。最初は、彼女のキュートでコロコロ変わる豊かな表情や、凜(りん)としたたたずまいに憧れていたが、最近はバレリーナの夢に挫折したことや身長の高さがコンプレックスになっていたことなど、自分とかぶる部分があり、ますます好きになった。
 
彼女のファンは私だけではなく、同年代の友達にもファンが多い。母に買ってもらった写真集や伝記を貸し借りしたり、好きな偉人についてスピーチする英語の授業では、友達と一緒にオードリーについて発表したりしたことがある。
現代のギャル’s(私たちのこと)でも、「この服の着こなしをまねしてみよう」とか「今度このヘアアレンジしてみよう」と思わせる、全然古びないスタイリッシュさがある。そして、美しさと可愛らしさが併存する顔面から放たれる表情一つ一つに皆とりこになるのだ。古びないのはファッションだけでなく、彼女の生き方も現代の私たちを魅了する。


 

自立した女性像

 マリリン・モンローなどのお色気ムンムンな女優が人気を博していたハリウッド黄金期。そんな中、黄金期に生まれた最後のスターとして、新しい美の形を生み出したのがオードリー・ヘプバーンだ。「ティファニーで朝食を」では、元々マリリン・モンローが演じる予定だった役をオードリーが演じることになった。監督がイメージしていたヒロイン・ホリーは、男性にこびへつらう娼婦(しょうふ)という役柄だったが、オードリーが演じるホリーは、そんなフワフワした女性に重力を与えた。
「ティファニーで朝食を」以外の作品でも、オードリーが見せるヒロイン像は男性を待たない凜とした女性である。オードリーはプライベートでも、男性よりも先に自らアプローチをかけるような、自由で自立した女性だったとこの映画の中で語られている。
作品の中でも、バレエレッスンで培った凜とした姿勢、ハキハキとしたしゃべり方、過度な露出をしなくてもしなやかな所作で見せる女性らしさなどから自立した女性像がうかがえる。自分の意思をしっかり持ち、それが容姿や表現にもにじみでているのだ。だから、私たちは、作品以外の彼女のことをよく知らなくとも、いつの間にか役を通り越して彼女自身に魅せられてしまうのである。
 

 新しい流行を作る当時のインフルエンサー

 オードリーはファッションを通して自らを表現することにもたけていた。いかに服が美しく見えるか、どんな服が一番自分を美しく見せてくれるか、自分自身でそれをよく理解して表現するセルフプロデュースが抜群にうまかったのだ。クロップドパンツやオールブラックスタイルなど、映画に出演するたびに数々の流行を作ってきた。今でいうなら、抜群のフォロワー数を誇るトップインフルエンサーになっていただろう。きっと映画に出演しなくとも、彼女の自己表現は斬新でかつ共感を呼び人気になったに違いない。
 
そんな彼女に魅了されたデザイナーが、かの有名なメゾンブランド「ジバンシィ」を設立した、ユベール・ド・ジバンシィだ。「麗しのサブリナ」や「ティファニーで朝食を」などの作品はジバンシィの衣装が着用された。最高の女優と最高のデザイナーがタッグを組むことで生まれる最高の化学反応。ジバンシィもまた、彼女のファッションセンスにほれ込んだ一人だった。
 
ジバンシィを見事に着こなすオードリーだが、高根の花という感じはしないのだ。あくまでも、等身大で着こなし、ドレスでもカジュアル着でもファッショナブルだがどこか親近感があり、私たちでもまねできるかもと思ってしまう。それは彼女の人柄が着こなしにも反映されているからだ。
ちなみに私は「パリの恋人」で見せた、黒のタートルネック黒のクロップドパンツを合わせたスタイリングがとても好きだ。下手すれば「もじもじくん」のようになりそうなところを、絶妙な丈感のパンツをチョイスすることでオードリースタイルにしてしまう。バランスのとれたヘアスタイル含め全身黒でも優美で女性的だ。シンプルな服装でも彼女なりの工夫をして自分のものにする、これは幼少期に貧しくても手持ちの服だけでいかにオシャレに見せるか工夫していた時代のたまものだろう。シンプルな服装のコーデが一番難しいのである。現代でも女性誌に取り上げられ、世の女性の憧れとなるのもうなずける。

 

女性が憧れる女性。そして、一人の人間として

 外見だけではなく、生き方まで美しかったオードリー・ヘプバーン。
この世を去ってから29年の時がたつ今もなお、全女子のアイコン的存在として語り継がれる彼女の人生を追った本作。
世界中から愛された彼女の知られざる苦悩も描かれており、特に父の愛情に飢えた幼少期のトラウマから始まり、2度の離婚を経験するなど、華やかな映画スターの裏の顔は悩める一人の女性だった。
強く完璧な女性に見えてももろい一面もあるオードリー。そんな等身大の姿が、オードリー・ヘプバーンも同じ人間だったのだと感じさせる。
オードリー・ヘプバーンの出演作を見てみてくださいなんて私が言わなくても、もう既に「ローマの休日」くらいは見た経験がある方は多いだろう。そんな方はぜひ、この映画「オードリー・ヘプバーン」を鑑賞してから、彼女の出演作を見てほしい。彼女のさらなる魅力や、人間味に気づくことができるはずだ。
TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開中

 配給:STAR CHANNEL MOVIES 
 ©️2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.
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監督:ヘレナ・コーン
キャスト:オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)、
エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、
クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)、
ピーター・ボクダノヴィッチ(アカデミー監督賞ノミネート)、
リチャード・ドレイファス: アカデミー賞受賞俳優 (『アメリカン・グラフィティ』、『ジョーズ』)他
振付:ウェイン・マクレガー
バレエダンサー:アレッサンドラ・フェリ、フランチェスカ・ヘイワード、キーラ・ムーア
100分/2020年/イギリス/5.1ch/ビスタ/字幕翻訳:佐藤恵子/原題:“Audrey”

オードリー・ヘプバーン

世界で最も偉大なミューズの一人となった。一世代に一人と言われた圧倒的な美貌、そしてハリウッド黄金期の伝説的スターと称されたオードリー。彼女の独自の流儀とユベール・ド・ジバンシィとの先駆的なコラボレーションは今も人々にインスピレーションを与え続けている。そんなオードリー・ヘプバーンは、本当はどういった人物だったのだろうか?

戦争によって幼少期に経験した栄養失調、父親による裏切り、そしてナチス占領下のオランダという過酷な環境で育ったオードリーは過去のトラウマと一生涯向き合わねばならなかった。この経験は彼女のバレエダンサーになるという夢を奪い、私生活にも影を落とすこととなった。しかし彼女は晩年、ユニセフ国際親善大使として自身の名声を子供達のために尽くすことで、ようやく心穏やかに過ごす方法を見出したのだった。最初は戦争の犠牲者として動き出した人生をのちにこの活動を通して大勢の人たちに癒しと救済をもたらしたことで、オードリーは自分の力で満ち足りた人生を送ることができたのだった。

オードリーは美の手本であり、真似できない彼女の流儀と才能を持つ女性だった。特に愛を強く信じる人物であり、自身の愛の力で負のエネルギーですらも乗り越える象徴として今なお存在し続けている。彼女は非常に僅かな愛情で育ち、喪失感や戦争、育児放棄に悩まされたにもかかわらず、恐怖や憎しみに屈することはなかった。つまり彼女は愛するため、そして愛されるために戦い、そして見事自分で本当の意味での成功を掴んだのだった。

ライター
青山 波月

青山 波月

あおやま・ なつ 2001年9月4日埼玉県生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科3年在学中。
埼玉県立芸術総合高等学校舞台芸術科を卒業後、現在は大学で映画・演劇・舞踊などを通して心理に及ぼす芸術表現について学んでいる。
高校3年〜大学1年の間、フジテレビ「ワイドナショー」に10代代表のコメンテーター「ワイドナティーン」として出演。
21年7月よりガールズユニット「Merci Merci」として活動開始。
好きな映画作品は「溺れるナイフ」(山戸結希監督)「春の雪』(行定勲監督)「トワイライト~初恋~」(キャサリン・ハードウィック監督)
特技は、韓国語、日本舞踊、17年間続けているクラシックバレエ。
趣味はゾンビ映画観賞、韓国ドラマ観賞。

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