「三姉妹」©2020 Studio Up. All rights reserved.

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2022.6.17

三姉妹

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

元夫の借金と反抗期の娘を抱える長女ヒスク(キム・ソニョン)、熱心に教会に通いながら完璧な家族生活を保とうとしている次女ミヨン(ムン・ソリ)、スランプ中の劇作家で酒に溺れる三女ミオク(チャン・ユンジュ)。ソウルで暮らす3人姉妹が苦難に満ちた現実と格闘し、久しぶりに集まった父親の誕生会で自分たちの問題と向き合う姿を見すえた人間ドラマだ。

性格も境遇もバラバラ。それぞれ結婚を経験し、今は疎遠になった3人の生きづらさを絞り出す女優陣の演技がすさまじい。なぜ3人は、こんなにも理不尽な人生を送るはめになったのか。家族が一堂に会する終盤に回想シーンを挿入し、姉妹の失われた幼少期の記憶、すなわち心の傷の根源を明かすストーリー展開にも息をのむ。暴力や信仰などの主題を扱った深刻な内容なのに、不意に飛び出すユーモアなど驚きの連続で、最後はじんわり。見応えずしりの一作である。イ・スンウォン監督。1時間55分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・シネ・リーブル梅田(6月24日から)ほか。(諭)

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ここに注目

それぞれに違う形のよろいをまとい、理不尽な日常をサバイブしようとする三姉妹。女優たちは持ち味を生かして好演するが、とりわけキム・ソニョンの泣き笑いの表情が忘れがたい。家父長制の犠牲となった女たちの叫びを涙と笑いにまぶして描き、韓国映画の底力を感じさせる。(細)

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