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2024.9.05

SFホラーの金字塔「エイリアン」シリーズを時系列順におさらい! 最新作「ロムルス」をより楽しもう!

1979年に産声をあげ、45年続く人気シリーズへと成長した「エイリアン」。時代を超えて人々に恐怖を与え続けるSFホラーの最新作にして、第1作の〝その後〟を描く「エイリアン:ロムルス」の公開に合わせて、その歴史を振り返ります。

ヨダセア

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SFホラーの金字塔「エイリアン」シリーズの最新作、映画「エイリアン:ロムルス」が、より日本で公開中だ。
 
これまでに制作された「エイリアン」映画は7本。公開順に並べると「エイリアン」(1979年)、「エイリアン2」(86年)、「エイリアン3」(92年)、「エイリアン4」(97年)、(※)、「プロメテウス」(2012年)、「エイリアン:コヴェナント」(17年)、そして「エイリアン:ロムルス」(24年)となり、さらに今後は「エイリアン:アース(原題)」というドラマシリーズ作品の配信が予定され、すでに同作の撮影は終了したと報じられている。
 
※:今回は紹介に含まないが、この位置に「プレデター」シリーズとのコラボレーション作品「エイリアン VS. プレデター」(04年)および「AVP2 エイリアンズ VS. プレデター」(07年)が入る。
 
しかし、作品内の時系列で考えると一部の作品は初期の作品より前を描いていたり、最新作がシリーズの中腹に挟まったりと、公開順とは大きく異なるため、今回は「エイリアン」シリーズの物語を、時系列順に整理する。
 
 
「エイリアン:コヴェナント」より © 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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「エイリアン」シリーズの前日譚にあたる「プロメテウス」と「エイリアン:コヴェナント」

 時系列順に並べると、最初に来るのは内容がまだ明らかでないドラマシリーズ「エイリアン:アース(原題)」だ。こちらは第1作から見て30年前にあたる2092年より以前を描くとされており、シリーズ全体の前日譚(たん)という位置付けになる。
 
次に、2093年を描いた「プロメテウス」。シリーズを生み出したリドリー・スコット監督がじきじきに作り上げたシリーズの前日譚であり、〝エイリアンの起源〟をつづった作品である。
 
マヤ文明、メソポタミア文明といった古代文明の壁画などに共通して見られる未知の人型生物の謎を探求するため、「プロメテウス号」に乗った調査チームが旅に出る…といった形で始まるこの物語は、文明人の進化・支配願望を醜く恐ろしい形で描きあげ、最終的にエイリアン(につながる原種のような生物)が誕生するところまでを見せた。
 
連続してスコット監督が手がけた「エイリアン:コヴェナント」は「プロメテウス」から地続きになる物語(とはいえ2104年を描くため11年はたっている)。植民船「コヴェナント号」の乗組員たちの旅路を通して、消息を絶った前作の主人公エリザベス・ショウの足跡も見せつつ、見慣れた姿に近づいていくエイリアンの恐怖を描いた。「プロメテウス」から登場しているアンドロイドのデッドの行動によって、際限ない繁栄願望の危険性・恐怖を描いていることも印象的だ。
 

「エイリアン」より © 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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最新作は記念すべき第1作「エイリアン」と「エイリアン2」の間にあたる

 記念すべき第1作「エイリアン」は2122年の物語。時系列では「コヴェナント」の後に来る。舞台は宇宙で採れた鉱石を積み地球へ帰還するはずであった貨物船「ノストロモ号」だ。
 
その名の通り人間の〝顔に抱きつき〟幼生をその体内に仕込むフェイスハガー、人間の〝胸を突き破り〟誕生するチェストバスター、それが脱皮を繰り返して成体になったゼノモーフというエイリアンのおぞましい進化過程は第1作ですでに描かれており、その過激な生態はノストロモ号の乗組員と我々観客を恐怖の底に突き落とした。
 
最終的に乗組員は通信士リプリー(シガニー・ウィーバー)を残して全滅。リプリーは脱出し、ノストロモ号は大爆発している。
 
ここで「エイリアン」と「エイリアン2」の間の時系列に挟まるのが、今回の最新作「エイリアン:ロムルス」だ。監督は「ドント・ブリーズ」でも緩急のついたスリルと人間の狂気をスクリーンにもたらしたフェデ・アルバレスが務める。

 
「エイリアン2」より © 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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「エイリアン:ロムルス」は時系列前後の作品を見ると一層楽しめる

 今作は新たな女性主人公レイン(ケイリー・スピーニー)を中心に、抑圧・支配からの解放を求める若者たちが宇宙船「ロムルス」でエイリアンの脅威に対峙(たいじ)する物語だ。
 
勇敢で歯切れのよいヒロイン・リプリーに比べて庶民的なレインは感情移入もしやすく、「ロムルス」はシリーズに新たな風を吹かせたと言えるが、音楽が最新のSF映画群に比べてノスタルジーを感じるサウンドであったり、1作目を見たファンが楽しめる要素が含まれていたりと、タイムラインにおける今作の位置付けを強く意識した作品となっているため、ぜひ前後の作品と一緒に楽しんでいただきたい。
 
「エイリアン2」では、「エイリアン」唯一の生き残りであるリプリーが新チームと共に、新たな地球人の拠点として入植中の小惑星LV-426を調査するミッションに出る。しかし問題は前作でリプリー以外が全滅し、ノストロモ号も爆散したということ。リプリーがエイリアンの恐怖を語ろうにも、その証拠が存在しないのだ。彼女の話は精神異常者の妄想だと笑い飛ばされ、誰も彼女の話を信じない。
 
案の定、彼らの前に現れるエイリアン。さらに1作目には登場しなかった〝エイリアンクイーン〟も現れ、油断していた隊員たちは次々に犠牲になっていく。リプリーはLV-426でエイリアンに家族を殺された孤独な少女ニュートに出会い、彼女を守りながら、エイリアンクイーンを撃退。身体が損壊した仲間のアンドロイド〝ビショップ〟らと共に避難することに成功する。
 

「エイリアン3」より © 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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「エイリアン3」「エイリアン4」は個性派監督による作風が印象を残す

 続く「エイリアン3」は「2」のほぼ直後(引き続き2179年)を描くのだが、リプリーが目覚めると、前作で共に逃げ出したキャラクターはすでに全滅しており、ひとりで生き残っていたという悲劇的な始まり方をする。
 
今作のラスト、リプリーはなんと自害という道を選ぶ。体内にエイリアンを植え付けられてしまった彼女は、研究目的で他の人間の命を危険にさらすような冷徹な権力者たちから未来を守るため、体内のエイリアンごと溶鉱炉に飛び込むのだ。
 
監督は今作が長編デビューとなり、その後「ファイト・クラブ」や「ゴーン・ガール」を生むことになるデッド・フィンチャー。ミュージックビデオ界出身の監督らしいアクティブなカメラワークや、後の監督作品にも通ずるほの暗い撮影も特徴的だが、製作にあたってスタジオとのすれ違いを経験したフィンチャーはこの作品が良い思い出ではないと明かしている。


「エイリアン4」より © 2024 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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時系列で最後にあたる「エイリアン4」では、「3」で命を絶ったリプリーが、2381年にクローンという形で復活させられてしまう。今作を監督したのは「アメリ」「デリカテッセン」のジャン=ピエール・ジュネだ。
 
クローン化される過程でエイリアンと遺伝子が融合したリプリーは研究者に実験体として扱われるが、復活したエイリアンが暴走、再び人々に襲いかかる。遺伝子の融合によって新たな生物が生まれ、リプリーを母親と認識。複雑な感情を抱くリプリーが涙を流しながらその生物を葬るなど、異色の印象を残す作品となった。
 
最新作がいよいよ公開となる「エイリアン」シリーズ。「エイリアン:ロムルス」のシリーズ内での位置付けも意識しながら、楽しんでいただければ幸いだ。

 


映画「エイリアン:ロムルス」日本オリジナル予告|劇場公開中

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ライター
ヨダセア

ヨダセア

フリーライター。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(X・Instagram)やYouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」においても映画や海外ドラマに関する情報・考察・レビューを発信している。

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