Ⓒ2024「変な家」製作委員会

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2024.3.12

女優デビューが決まった和合由依が見た「変な家」もう一回見てみたい!

誰になんと言われようと、好きなものは好き。作品、俳優、監督、スタッフ……。ファン、オタクを自認する執筆陣が、映画にまつわる「わたしの推し」と「ワタシのこと」を、熱量高くつづります。

和合由依

和合由依

ずっと鳥肌がたったまま。ずっと体が前のめりになったまま。怖いのに物語の続きを知りたくなる。なぜか続きを見たくなる。「変な家」。
 

もう一回見てみたい

最近になって、ホラー映画を見てみたいと思えるようになった私。少しずつホラー作品に触れ、慣れを感じていた頃にこの映画を選んだ。正直、〝見なければよかった〟と作品の鑑賞中に何度かそう思った。正直、〝もう見たくない〟とも思った。でも今の私はもう一回見てみたいと感じている。


 

心拍数が高くなる

主人公の雨男こと雨宮トオル(間宮祥太朗)は、オカルトを専門で動画配信をする売れないクリエーター。そんな彼が配信する動画の撮り方と彼の語り口が私の頭の中に印象深く残り今でも忘れられない。トオルの動画の撮り方は、一緒に見ている者の感情を身動きが取れなくなるほどに締め付けてくる。彼が回すカメラの画面を見ている時の私は心拍数が高くなっていた。

 

次にフレームに映るものは何なのか

動画は彼の主観映像が収められる。動画を記録しているその姿は何かに取り憑かれているかのようだった。トオルが驚いたりこわ張ったり反応するその声や呼吸の荒さ、手ブレなどは全てカメラが敏感に記録している。フレームの外には何があるのか。次にフレームに映るものは何なのか。気になって仕方がなかった。
 

画面から目を離せなくなった

時々、カメラが映し出す光景が怖いものに見えてしまう時があったが、彼がその光景に対して発する声や呼吸する息の音までが、収録された映像と並行して聞こえてくるため、彼が敏感に反応しているものを見たくなり、画面から目を離せなくなってしまった。トオルと同様、私の体も映像と音に対して敏感に反応していた。特に肩。私の感情が肩の動きと連動していた。

 

ゾクッとするような感覚

私がまだ小さかった頃。明かりを全て消した真っ暗な部屋の中で寝るとき、何かが部屋にいそうな感覚に襲われたことがあった。ものが動く様子や音などは聞こえないのに、何かに見られているようなゾクッとするような感覚。布団に包まれた私は後ろを振り向くことができない。暗闇の中に見えない何かがいるのではと疑い、目を動かしていた。今ではもうそのようなことはないが、当時の私は妖怪や都市伝説などが特集されているテレビ番組などを寝る前に見てしまうと、床に就いても自分の背後にそれらの何かがいるような気がしてあまり眠れなかった経験がある。こういった経験は誰もが感じたことがあるのではないだろうか。

私が経験したこの感覚と似ていた

トオルが回すカメラの画面を見ているときに身動きが取れなくなった感覚は、過去に私が経験したこの感覚と似ていた。何かが背後にいるような気がして辺りを見渡すことができず、目の前にあるスクリーンから目を離すことができなかった。映画を見ている時はその感覚がとても嫌だった。けれど今は一度ラストシーンまで見てしまったので、この映画に対する恐怖心のようなものは無い。

 

おすすめは2回見ていただくこと

2月12日に開催された映画の完成を記念する「変な報告会」で、石川淳一監督が司会者に「作品の手応えはいかがでしょう」と聞かれたところ、「手応えはもちろんあるのですが、この映画の見方で僕のおすすめは2回見ていただくこと。1回目は多分アトラクションなので〝ワー〟とか〝キャー〟とかなると思うんですが、2回目って、結構笑えると思う。なので、そういう意味でも2回見にいって笑えるじゃんみたいな感じがあったら感想を送っていただければありがたいなと。2回見ていただくのが僕のおすすめ」と、回答した。私が今、この映画をもう一度見たいと思う理由は、ラストまでストーリーを知ってしまったからこそ、2回目は1回目と違って真剣に見ていたシーンが笑えるシーンに思えるのではないのかと感じるから。一度映画を見終えたからこそ生まれたこの感情は石川監督の〝おすすめの見方〟に当てはまる。おそらく2回目は1回目と全く違う見方で映画を見ることになると思う。次は〝怖い〟や〝驚く〟といった感情が勝って映画を見るのではなく、物語のミステリーにもっと集中することができる気がする。
 
3月15日(金)公開。

ライター
和合由依

和合由依

2008年1月10日生まれ。東京2020パラリンピック開会式では、これまで演技経験がなかったものの、片翼の小さな飛行機役を演じ切り、世界中の人々に勇気と感動を与えた。羊膜索症候群、関節拘縮症による上肢下肢の機能障害を抱える。中学時代は吹奏楽部に所属しユーフォニアムを担当。趣味は映画鑑賞のほか歌や絵画。2021年毎日スポーツ人賞文化賞を受賞。24年5月11日(土)よる10時~ 放送、NHK土曜ドラマ「パーセント」に出演。



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