カンヌ国際映画祭の会場。第76回のポスターはカトリーヌ・ド・ヌーブがデザインされている=2023年5月16日、勝田友巳撮影

カンヌ国際映画祭の会場。第76回のポスターはカトリーヌ・ド・ヌーブがデザインされている=2023年5月16日、勝田友巳撮影

2023.5.17

カンヌ映画祭華やかに開幕 是枝監督らレッドカーペット登場!

第76回カンヌ国際映画祭が、5月16日から27日まで開催されます。パルムドールを競うコンペティション部門には、日本から是枝裕和監督の「怪物」、ドイツのビム・ベンダース監督が日本で撮影し役所広司が主演した「パーフェクトデイズ」が出品され、賞の行方がきになるところ。北野武監督の「首」も「カンヌ・プレミア」部門で上映されるなど、日本関連の作品が注目を集めそう。ひとシネマでは、映画界最大のお祭りを、編集長の勝田友巳が現地からリポートします。

勝田友巳

勝田友巳

第76回カンヌ国際映画祭は16日夜(日本時間17日未明)、南仏カンヌで開幕した。コンペティション部門には、日本から出品された是枝裕和監督の「怪物」、ドイツのビム・ベンダース監督が日本で撮影し役所広司が主演した「パーフェクトデイズ」が出品されている。コンペの21作品は、世界中の大物監督がズラリと並び、賞の行方に注目だ。


 「ジャンヌ・デゥ・バリ-」のマイウェン監督(右から3人目)とジョニー・デップ(同4人目)ら出演者たち=2023年5月16日、ロイター

マイケル・ダグラスに名誉パルムドール

各国のスターが登場するレッドカーペットセレモニーは、カンヌの名物。主会場リュミエール大劇場前に敷かれた赤いじゅうたんをカメラの放列を浴びながら歩き、階段を上がって劇場入り。この日は名誉パルムドールを贈られる米国の俳優マイケル・ダグラス、開幕を飾ったフランス映画「ジャンヌ・ドゥ・バリー」のマイウェン監督や出演したジョニー・デップらが、歓声の中会場入り。早々にカンヌ入りした是枝監督、作品の上映はないがカンヌ常連の河瀬直美監督らの姿も。

という様子を、記者は主会場隣のドビュッシー劇場の中継で見た。リュミエール大劇場も、開幕式の客席は招待された著名映画人らで埋まる。ドビュッシー劇場は世界中から集まったジャーナリストのために開放され、一部始終が同時中継されるというわけだ。
 

名誉パルムドールを贈られたマイケル・ダグラスと登壇したカトリーヌ・ド・ヌーブ=2023年5月16日、ロイター
 

開幕作品は18世紀ベルサイユが舞台

開幕式ではフランスの女優、キアラ・マストロヤンニが司会を務め、コンペ部門の審査員長、リューベン・オストルンド監督が「コロナ禍は、大勢が集まって同じ映像を見て語り合うという、映画を見る特別な体験を再確認させた。世界中に450億ものカメラがある現代、映像の影響を考えるべきだ」とスピーチ。
 
マイケル・ダグラスは妻のキャサリン・ゼタ・ジョーンズと娘を伴って来場。米国の女優、ユマ・サーマンからトロフィーを手渡され「世界中から国も文化も言葉も違う人々が、映画のために集まるカンヌは特別な場所」と感激の面持ちだった。

開幕作品の「ジャンヌ・ドゥ・バリー」は18世紀、ルイ15世に愛されベルサイユ宮殿で暮らしたジャンヌが主人公。身分の低い出自のジャンヌを自由な精神の女性として捉え、王の一族から白眼視されながらもルイ15世と愛を育んだ生涯を描いた。マイウェン監督自身がジャンヌを、ジョニー・デップがルイ15世を演じている。

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

カメラマン
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。