チャートの裏側:真骨頂は日常の営み
チャート圏外だが、役所広司主演の「PERFECT DAYS」が興行収入6億円に近づいた。正月興行の隠れたヒットだ。監督は名匠ビム・ベンダースで、れっきとした日本映画である。役所の最優秀男優賞受賞(カンヌ国際映画祭)がヒットの引き金だが、それだけではないだろう。 役所は東京・渋谷の公衆トイレ清掃員を演じる。早朝に起きる。植物に水をやる。歯を磨く。自販機で缶コーヒーを買う。清掃道具を完備した車で出かける。仕事を終え、行きつけの飲み屋でくつろぐ。この繰り返しの描写が、時間は短縮されながらも、何度か出てくる。 もちろん、これだけでは映画にはならない。同僚、離れていた妹、そしてある女性が登場する。次...