3度の飯より映画が好きという人も、飯がうまければさらに映画が好きになる。 撮影現場、スクリーンの中、映画館のコンフェクショナリーなどなど、映画と食のベストマリッジを追求したコラムです。
2022.11.15
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の最新3D映像をとことん楽しみたい人へ|トップアスリート専属管理栄養士の〝映画飯トレ〟
2022年12月16日に「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(以下「アバター2」)が劇場公開されます。公式ページでは、映画館で繰り広げられるであろう最新3D映像のことを【異次元の〝没入型〟映像体験】と表現しているようです。公開まで1カ月。ここでは、異次元の没入型映像体験をとことん楽しむために、目のコンディションをととのえる食トレについてお話しします。
はじめまして、トトノイニストの石松佑梨です。私はこれまで世界で活躍するトップアスリートたちの専属管理栄養士を務めてきました。具体的な仕事内容は、選手の〝なりたい〟をオーダーメードの食トレでかなえていくことです。
3D映像による目の疲れを取り除く食トレ
前作「アバター」は、見る映画ではなく〝体験する映画(=アバター体験)〟として大きな社会現象になりました。ジェームズ・キャメロン監督渾身(こんしん)の3Dカメラが創り出した未体験の映像世界は、映画業界にとどまらず、映像業界全体に大きな衝撃と進化を与えたものです。国内の興行収入は156億円超の大ヒットを記録しました。
「アバター2」の舞台は海の世界だそうです。サブタイトルが「ウェイ・オブ・ウォーター」だと聞いて、前作の〝木々から水滴の落ちるシーン〟を思い出しました。当時の私は、手を伸ばせば触れられそうな水滴に感動しながらも、しくみをのぞいてみたくなったのです。3Dメガネをはずすと、目のピントを無理やり合わせられているような感覚がありました。映画が終わる頃には、目をギューッと閉じていたくなるような強い疲労感……。まさに見る映画ではなく体験する映画ならではの感じ方なのでしょう。これがすでに13年前のこと。「アバター2」の公開にあたり、私もそれだけ年をとったわけですから、今のままで臨めば心身に堪(こた)えるはずです。
そこで、最新の映像体験をとことん楽しむための食トレを考えてみました!
① 作品は3時間超! 3D映像を楽しめる〝タフさ〟が欲しい
「アバター2」では想像をはるかに超える映像技術が用いられることは間違いありません。つまり前作の3D映像を見ても疲れないような対策は必要でしょう。また上演3時間10分という長期戦に耐えうる心身も求められます。
近年、パソコンの長時間使用による心身の不調が増えています。とくに、目が乾燥してショボショボとしたり、ピントが合いづらくなったり、視力が落ちたりと目の酷使に対する訴えが顕著です。さらにパソコンの画面がスピード感のあるアクションや3D映像だったとしたら……。想像するだけでめまいがしませんか? 3D映像とは左右の目に異なる映像を見せることで、科学的に立体視を再現する技術なのだそうです。ピントの合う位置をずらすことで飛び出して見える〝目の錯覚〟を利用するのですから、当然、目は疲れますよね。
② 観劇のスタンバイOK! 目を疲れさせないおうちごはん
〝3D映像を楽しめるタフさが欲しい!〟という課題の解決に向けて、具体的な食トレを考えてみましょう。観劇前は体内にしっかりと血液を貯蔵して、目への血流不足を防ぎたいところです。また抗酸化物質や良質なオメガ3系脂肪酸の摂取で、視覚をつかさどる神経細胞を保護することも大切になってきます。そこで、おうちごはんにおすすめしたい食べ物が卵、サーモン、緑黄色野菜です。
卵には、ビタミンCと食物繊維以外の全ての栄養素が含まれています。とくに鉄とたんぱく質は血液の材料となり、夕方以降ひどくなるドライアイにも効果的です。またビタミンB2には目の粘膜を保護したり、充血を防いだりする作用があります。
サーモンの色素成分アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、眼精疲労やピント調整能力の改善に働きます。フレッシュな魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸とともに目の疲れを取り除いてくれるでしょう。
緑黄色野菜はビタミンC・Eやフィトケミカルの持つ抗酸化作用で、活性酸素から神経細胞を守ります。またニンジンやカボチャなどに多く含まれるβカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAとなり、薄暗いところで物が見えづらい(夜盲症)やドライアイを防ぐものです。
③ 上演中の秘策!? 目の疲れを防ぐコンフェクショナリー
上演3時間超の長期戦では、コンフェクショナリーによる水分・栄養補給も重要です。定番のキャラメルポップコーンとコーラでもいいのですが、ここでは目を疲れさせないひと工夫を取り入れてみましょう。
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咀嚼(そしゃく)音が上映の邪魔にならず、こっそりと食べられるコンフェクショナリーとしておすすめしたいのがドライフルーツです。とくに目への血行を促すブルーベリーや、目の乾燥を防ぐクコの実を選べば、目の疲れ軽減につながります。
また咀嚼音は出てしまいますが、オメガ3系脂肪酸やビタミンEが豊富なナッツ類もおすすめです。ピスタチオに豊富なルテインは強い抗酸化作用があり、ブルーライトや紫外線から目を守る働きがあります。
④ 観劇後のケアも忘れずに! 目を疲れさせない外食選び
観劇後もそのままアバターの世界に浸っていたいですよね。上手に目を回復させながら、友達とのアバター話に花を咲かせたいのであれば、おすし屋さんはいかがでしょうか。
新鮮な魚油にはドライアイを防ぐ効果があります。また網膜などの神経系に大量に含まれているDHAと、血流を促すEPAの摂取が目の疲れを取り除いてくれるでしょう。
洋食ならイタリアンがおすすめです。パスタはアサリボンゴレで決まり! 貝類に多く含まれるタウリンは交感神経を抑えることで目を休めます。赤ワインやオリーブオイルのポリフェノールは活性酸素による酸化ダメージから目を守ってくれるでしょう。ただし、アルコールはほどほどに。
「アバター2」の最新映像をとことん満喫するための食トレ、いかがでしたか?
公開当日まで、私もおいしく食べてととのえます!
ジブリ飯でまじめに"子どもの食育"みんなすくすく大きくな〜れ!管理栄養士の"映画飯トレ" - ひとシネマ (mainichi.jp)