「女神の継承」© 2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.

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2022.7.30

特選掘り出し!:「女神の継承」 謎と怪しさ、じわじわと

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

不条理なストーリー展開と恐怖描写が際立っていたオカルト映画「哭声/コクソン」の韓国人監督ナ・ホンジンが、製作・原案を手がけたタイのホラー映画である。とある村で先祖代々、巫女(みこ)の務めを受け継いできた一族が、邪悪な何かによって脅かされていく。

縫製の仕事で生計を立てながら、現役の巫女として村人の悩みに耳を傾ける中年女性ニム(サワニー・ウトーンマ)。そんな彼女のめいで、快活な現代っ子のミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)が奇怪な言動を連発し、ニムは姉ノイから助けを求められるが……。

イサーン地方の田舎で撮影した映像世界は、東南アジアらしいジットリとした空気感からしてハリウッドのホラーとは異質なムードが漂う。さらに祈とうの儀式などの伝統的な風習をふんだんに再現して、土着的な恐怖を創造した。

終盤に待ち受ける惨劇は、かなり過激でグロテスク。しかしドキュメンタリー調の一人称視点による演出が効果を発揮するのは、むしろ謎と怪しさがじわじわとせり上がってくる序盤から中盤のシークエンスだろう。監督は「愛しのゴースト」のバンジョン・ピサンタナクーン監督。2時間11分。東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほか。(諭)

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