ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

2022.11.17

「ラーゲリより愛を込めて」氷海のクロは実在した、公開記念展示企画実施中

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ひとしねま

ひとシネマ編集部

12月9日公開「ラーゲリより愛を込めて」(毎日新聞社など製作委員会)の公開を記念し、京都の舞鶴・新宿・赤坂にて大型の展示企画を実施している。
本展示企画は実際に抑留者たちが帰国を果たした土地である京都舞鶴にある舞鶴引揚記念館をはじめ、東京・新宿の平和祈念展示資料館、赤坂Bizタワー SHOPS&DINING アトリウム2F展示スペースにて開催中。
劇中でキャストが着用した衣裳や小道具を数多く展示。細部までこだわり抜いた制作陣の熱意を感じ取れる貴重なアイテムが揃っている。
また、「シベリア抑留とは何か」「抑留者たちの生活はどういったものだったのか」など当時の過酷な生活様式を感じることができる解説コーナーも設置。それぞれの地でラーゲリでの真実、さらに本作の世界を深められる展示企画となっている。
 
ここで展示の一部「氷海のクロ」を紹介する。

興安丸に引き上げられるクロ(朝日新聞社 提供)
 
ラーゲリで抑留者に飼われていた黒毛の犬・クロ。
家族と生き別れ、強制収容所に留め置かれた抑留者たちにとって、心の支えとなる存在であった。
抑留者とクロの奇跡のような展開は架空の物語と思われるかもしれない。
しかし、今なお語り継がれる史実である。
 
映画では、新谷(中島健人)がクロと名付け、貴重な食料を与えた。やがてクロは、山本にもなつくようになる。山本が懲罰房に入れられてしまうと、クロは哀しそうに吠え続けた。
労働の余暇に山本らが野球を楽しんだ際、クロは、遠くに飛んでしまったボールを取りに行く球拾い役を担うなど、みなに可愛がられた。

ラーゲリ内で日本人に飼われてたクロ(舞鶴引揚記念館 提供)
 
1956年12月、クロは、帰国する抑留者を乗せた興安丸を追いかけて氷海に飛びこんだ。皆がどよめく中、船は止まり、クロは甲板に引き上げられた。「シベリア生まれのクロ」は、日本にたどり着くと、京都府舞鶴で飼われるようになり、クロそっくりの子犬をたくさん産み、「日本のクロ」となった。
 
暗く冷たいシベリアにおいて、抑留者と共に生きたクロは、ひときわ明るい光を放っている。
 
映画では、クロの子犬時代を生後二か月のクロスケ、成犬になってからをダイキチが演じており、共に本作がデビュー作となった。
より高度な演技が求められるダイキチは、撮影が始まる 3 か月ほど前から、トレーナーの合図で吠えたり、遠くに飛んだ野球ボールをくわえて持ってきたりする動きを練習した。
 
新谷を演じた中島健人は、次のコメントを残している。
「心が通じたと思ったのは、担架で病院に運ばれる山本さんを、クロと一緒に見届けるシーン。ずっとおとなしく寄り添っていてくれて、改めて心情を理解できる動物なんだな、僕らの心のケアをしてくれているんだなと感じました」。

■「映画 ラーゲリより愛を込めての世界」イベント概要
映画紹介、映画衣裳、小道具展示、シベリア抑留解説コーナーなど
①京都・舞鶴
[場所] 舞鶴引揚記念館
[住所]京都府舞鶴市字平1584番地 引揚記念公園内
[営業時間]9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
[期間]2023年1月15日(日)まで
※新型コロナウイルスの流行状況などにより変更となる可能性があります。
[定休日]毎月第3木曜日(8月と祝日を除く)、年末年始(12月29日~1月1日)
[電話番号]0773-68-0836
[入場料]一般 個人:400円/団体(20名様以上):300円
学生(小学生~大学生)個人:150円/団体(20名様以上):100円
期間中の映画紹介コーナー:一部無料
[公式サイト]https://m-hikiage-museum.jp/
 
②東京・新宿
[場所]平和祈念展示資料館
[住所]東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル33階
[営業時間]9:30~17:30(入館は17:00まで)
[期間]2023年1月15日(日)まで
※新型コロナウイルスの流行状況などにより変更となる可能性があります。
[定休日]月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
※祝日または振替休日の場合はその翌日
[電話番号]03-5323-8709
[入場料]無料
[公式サイト]https://www.heiwakinen.go.jp/
 
③東京・赤坂
[場所] 赤坂Bizタワー SHOPS&DINING アトリウム2F展示スペース
[住所]東京都港区赤坂5-3-1(東京メトロ千代田線赤坂駅3b出口)
[営業時間]11:00~19:00
[期間]2022年12月25日(日)まで
※新型コロナウイルスの流行状況などにより変更となる可能性があります。
[定休日]なし
[入場料]無料

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ライター
ひとしねま

ひとシネマ編集部

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