「アステロイド・シティ」 ©2022 Pop. 87 Productions LLC.

「アステロイド・シティ」 ©2022 Pop. 87 Productions LLC.

2023.9.01

「アステロイド・シティ」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

1955年、人口わずか87人の米南西部の町アステロイド・シティで、ジュニア宇宙科学賞の式典が催されることに。受賞者の子供たちとその家族が現地に招かれるが、授賞式の最中にまさかのハプニングが発生し、町は大混乱に陥っていく。

ウェス・アンダーソン監督がスペインに大がかりなセットを建てて撮り上げた群像喜劇。小さなダイナーやモーテル、天体観測所が点在し、大昔に隕石(いんせき)が落下した巨大クレーターが観光名物になっている砂漠の町を、お得意のシンメトリーの構図ときめ細かな配色で映像化した。マリリン・モンローを連想させるスター女優(スカーレット・ヨハンソン)、宇宙開拓の夢といった50年代アメリカを象徴する要素も満載。キテレツな宇宙人との遭遇シーンなど、視覚的な魅惑や驚きは尽きないが、大勢の登場人物が織りなすプロットはぶつ切れ気味で情報量過多。おまけに劇中劇も取り入れられ、難解でもある。ジェイソン・シュワルツマン、トム・ハンクスなど、アンダーソン作品の常連と大物俳優が大挙出演。1時間44分。東京・TOHOシネマズ日本橋、大阪・TOHOシネマズなんばほか。(諭)

異論あり

舞台が砂漠になっても箱庭的な美術は完璧に整えられ、その空間におなじみの俳優たちが配置されている。いつものように細部に目を凝らしたくなる映像だが、入れ子構造の物語は複雑。物語が躍動する瞬間を待つうちに映画が終わった。時代の雰囲気には浸れるので、50年代に興味のある人におすすめ。(細)