「ケナは韓国が嫌いで」

「ケナは韓国が嫌いで」© 2024 NK CONTENTS AND MOCUSHURA INC. ALL RIGHTS RESERVED.

2025.3.07

「ケナは韓国が嫌いで」 〝ここより良いどこか〟を求めるたくましさがまぶしい

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

28歳のケナ(コ・アソン)は韓国での生活に希望を感じられず、〝幸せ〟を求めてニュージーランドに脱出。新しい土地で働きながら学び、出会いを重ねていく。暗くて寒そうな冬の韓国と、明るく生き生きした夏のニュージーランドを象徴的に対比させながら、ケナの奮闘を軽やかに描き出す。

ケナは、単調な仕事や長時間通勤、「結婚したら養う」などと言う恋人にうんざり。しかし見方を変えれば、安定した仕事があり優しい恋人がいる。大金持ちになりたいとか世の中に知られたいといった野心もなさそう。「82年生まれ、キム・ジヨン」の主人公が男性支配社会で苦しんだのと比べれば、まだまし。それでも、韓国社会の窮屈さや停滞感に圧迫されている。

そんなモヤモヤした若者の気分、おそらく日本でも共通だろう。現実をのみ込んで「与えられた場所で咲く」のも選択の一つだが、ケナは「ここより良いどこか」を求め自ら行動を起こす。自力で未来を開こうとするケナのたくましさが、まぶしい。チャン・ゴンジェ監督。1時間47分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・テアトル梅田ほか。(勝)

ここに注目

ニュージーランドでなくても、ケナのような感覚でカナダやハワイなどの土を踏んだ人、足を運ぼうとした人も多いはず。人生の階段の踊り場で深呼吸するケナをコ・アソンがさわやかに演じて共感を呼ぶ。日常のささやかな瞬間を積み重ねた、チャン・ゴンジェ監督の演出もほほ笑ましい。(鈴)

この記事の写真を見る

  • 「ケナは韓国が嫌いで」
さらに写真を見る(合計1枚)