毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2024.3.15
「デューン 砂の惑星PART2」 ハリウッド最高峰の技術が結集した破格のスペクタクル
フランク・ハーバートの小説に基づくSF叙事詩の続編だ。舞台となるのは、希少な香料の産地である砂の惑星アラキス(通称デューン)。前作でハルコンネン家の陰謀によって父を殺されたアトレイデス家の跡継ぎ、ポール(ティモシー・シャラメ)が、砂漠の民フレメンと行動を共にし、侵略者への反攻に転じていく姿を描く。
撮影、音響、視覚効果などハリウッド最高峰の技術を結集し、見る者を神秘的な砂漠の惑星の世界観に没入させる映画体験は、まさに破格のスペクタクル。ストーリー展開が緩やかすぎた前作の難点も解消され、宇宙の救世主ポールとフレメン、宇宙帝国と結託したハルコンネン家の激しくうねる人間模様からも目が離せない。
とりわけポールと恋に落ちるフレメンの戦士チャニ(ゼンデイヤ)、ハルコンネン家の残忍な刺客フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)の存在感が出色。続投したドゥニ・ビルヌーブ監督の重厚で洗練された演出力も際立っている。2時間46分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(諭)
ここに注目
この世のものとは思えないロケ地、カメラワーク、砂嵐、物体……。映像と音響に目と耳と脳内をフル回転。ポールの反撃と成長、ラブストーリーだけはスーッと入ってくるが、それ以外は感性のみが頼り。理解が追いつかないものの、感覚で楽しむべき作品と納得!(鈴)