「裸足になって」 ©THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

「裸足になって」 ©THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

2023.7.21

「裸足になって」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

アルジェリアでバレエダンサーを目指すフーリア(リナ・クードリ)は賭場での逆恨みによって男に襲われ、大けがをしてしまう。事件のショックで声も失い、夢を断たれた彼女が身を寄せたのは、さまざまな事情を抱えたろう者の女性たちが集うリハビリ施設。そこでダンスを教えることになったフーリアは、新しい一歩を踏み出していく。

監督は、「パピチャ 未来へのランウェイ」でも抑圧された社会で自分らしさを手放さずに生きようとする女性たちの戦いを描いたムニア・メドゥール。体の自由を奪われた主人公が体を使い、大切なものを失った自分を救っていく様を美しい光の中で描き出した。犯人が野放しになっているような状況はあまりにも理不尽だが、これがアルジェリアの現実なのだろう。フーリアが手話を取り入れた振り付けを考え、新しい表現を身につけていく過程や女性たちと連帯する姿から監督の力強いメッセージが伝わってくる。製作総指揮として「コーダ あいのうた」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが参加。1時間39分。東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

クラシックバレエから、心身を解放し内側から湧き上がる身体言語としてのダンスへ。女性差別や父権支配、犯罪者を野放しにする社会など、理不尽な現実を超え、女性たちは繊細かつしなやかでしたたかだ。その連帯と生命力、自由への力強い思いがほとばしるラストは圧巻。踊り自体がメッセージだ。(鈴)

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