「ヒットマン」

「ヒットマン」 © 2023 ALL THE HITS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

2024.9.13

「ヒットマン」 実話とフィクションのバランスも絶妙の犯罪コメディー

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

米ニューオーリンズ在住のゲイリー(グレン・パウエル)は、大学で心理学と哲学を教えながら、地元警察の犯罪捜査に協力していた。そんなある日、緊急事態が発生し、ゲイリーがニセの殺し屋にふんしておとり捜査に身を投じることに。捜査は見事成功し、その後も殺し屋を演じることになったゲイリーは、夫殺しをもくろむ依頼人の女性マディソン(アドリア・アルホナ)に深入りしてしまう。

普段は2匹のネコと穏やかに暮らす男性が変装術を駆使し、嘱託殺人のおとり捜査で大活躍。元ネタは実話だという珍妙な物語を、多才で知られる人気監督リチャード・リンクレイターが軽妙なタッチで映画化した。近作「ツイスターズ」でも存在感を見せたパウエルが、製作、共同脚本にも携わり、クールな殺し屋やセクシーな殺し屋の七変化を披露。地味な主人公が別人に成りすますことで人生の喜びや情熱に目覚めていく展開にドラマの妙味があり、捜査成功の秘訣(ひけつ)=「相手が望む殺し屋になりきること」など、ユーモラスな人生訓も満載の犯罪コメディーだ。1時間55分。東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマほか。(諭)

ここに注目

今、最も勢いのあるハリウッドスター、パウエルの七変化で楽しませ、セクシーなラブコメディーで笑わせ、そこにアイデンティティーとは?という深いテーマも忍ばせている。実話とフィクションのバランスも絶妙で、これまでも組んでいるパウエルとリンクレイターの相性の良さが証明された一本。(細)

関連記事

この記事の写真を見る

  • 「ヒットマン」
さらに写真を見る(合計1枚)