「オットーという男」

「オットーという男」

2023.3.10

特選掘り出し!:「オットーという男」 老いの孤独に隣人の光

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

妻に先立たれ、会社を退職したオットーは、近所の見回りを日課にしている気難しい初老男性。生きる意味を失った彼は首つり自殺を図るが、向かいに引っ越してきた移民の一家に邪魔されて……。

2015年のスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」をハリウッドがリメーク。プロデューサーを兼任したトム・ハンクスが、いつも不機嫌で、野良猫にまで悪態をつく主人公オットーを演じた。

新たな隣人となった陽気でおせっかいなメキシコ人女性マリソル(マリアナ・トレビーニョ)に、オットーが振り回される前半はコメディー調。やがてオットーが自殺願望を抱く理由が回想シーンを交えて明かされ、思いがけない人と人とのつながりがもたらす希望のドラマへと発展していく。

いささか感傷的な話だが、コミュニティーの再生などの万国共通のテーマをはらみ、孤独や喪失といった人生の陰の部分に触れたことで映画に奥行きが生まれた。多様な人種、世代の脇役キャラクターが登場し、ハンクスを中心にしたアンサンブルも快調。ユーモアとほろ苦さがうまく溶け合った小品である。マーク・フォースター監督。2時間6分。東京・TOHOシネマズ日本橋、大阪ステーションシティシネマほか。(諭)

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