「Winny」 ©2023映画「Winny」製作委員会

「Winny」 ©2023映画「Winny」製作委員会

2023.3.10

「Winny」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2002年、東大大学院助手の金子(東出昌大)はデータのやりとりが簡単にできるファイル共有ソフト「Winny」を開発し公開。匿名性の高さもありシェアを伸ばすが大量の映画や音楽などが違法にアップロードされ、金子も04年に著作権法違反ほう助の疑いで逮捕される。金子の弁護士・壇(三浦貴大)は逮捕の不当性を主張して弁護団を結成し全面対決する。

臨場感あふれる裁判シーンに加え、金子のキャラクターを前面に打ちだしたドラマ運びが秀逸。ITに詳しくない筆者のようなアナログ人間が見ても、社会性とエンタメ性の巧みなさじ加減でぐいぐいひきつけられる。警察の卑劣さやソフトの脆弱(ぜいじゃく)性、当時の世相などを、あおることなく描き出そうとする松本優作監督の真摯(しんし)なスタンスが、作品への信頼度を高めた。主演作が続く東出が、探求心に没頭する技術者の姿をひょうひょうと好演。京都地裁の裁判に絞った構成が現代にもつながる問題をより鮮明にした。2時間7分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(鈴)

ここに注目
刃物による殺人が起こったとしても、刃物を作った職人が悪いわけではない。劇中で弁護士が語る例え話にうなずくことしきり。子供のように天真爛漫(らんまん)な主人公の人柄を表現した東出の好演、技術者やクリエーターの権利擁護を強調した作り手の視点に引き込まれた。(諭)

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