ワン・セカンド© Huanxi Media Group Limitedメイン

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2022.5.20

ワン・セカンド 永遠の24フレーム

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)。

中国の名匠チャン・イーモウが、文化大革命時代の1969年を背景に撮り上げたノスタルジックな味わいのドラマである。強制労働所を脱走した男(チャン・イー)が、砂漠地帯の小さな村にやってくる。彼の目的は、生き別れた娘の姿が映っているというニュース映画を見ること。そこで男はたくましい孤児の少女(リウ・ハオツン)やベテランの映写技師(ファン・ウェイ)と出会う。

チャン監督が若き日の映画にまつわるさまざまな思い出を投影した本作には、ユーモラスなエピソードがぎっしり詰まっている。主人公と少女が繰り広げるフィルム缶の争奪戦。砂ぼこりにまみれたフィルムを上映会のために洗って乾かす、映写技師と庶民のほほ笑ましいやりとり。おおらかな喜劇調の語り口の中にほどよいペーソスをまぶし、愛すべき小品に仕上げた。砂漠のロケーションの雄大さ、チャン監督が発掘した新人女優リウの初々しい存在感にも目を奪われる。1時間43分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(諭)

異論あり

若きチャン・ツィイーを思わせるリウ・ハオツンを軸に、親密なサイズの物語が幻想的な砂漠の風景の中に描かれる。持ち味を使いこなしたチャン・イーモウ監督、手だれの作品。あふれる映画愛には共感したが、官吏の横柄さと体制べったりの姿勢にはいささかうんざり。(勝)