Zhang Yimou
1951年11月13日 生まれ
監督「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」(2020年)「グレートウォール」(2016年)「単騎、千里を走る。」(2005年)「龍城恋歌」(1996年)「菊豆(チュイトウ)」(1990年)「紅いコーリャン」(1987年)
今回の映画は、「ワン・セカンド」、文化大革命の時代の中国で映画を上映するお話です。でも映画の紹介って、なかなか難しい。見る前に予備知識を提供するとそれだけで見た思いになっちゃって、映画をご覧いただけない可能性がある。筋書きをもっと突っ込んで書き込むと、ネタバレのために見る気を失いかねない。こうなると映画評は映画の敵になってしまいます。 現代中国でギリギリの表現 そこで今回は開き直って、映画の始まりだけちょっとお伝えしましょう。で、この出だし、よくわからないんですね。舞台は砂漠地帯のそばの中国の地方でして、画面に映るのは砂漠ばっかり。そこにえたいの知れない男が、うろうろしている...
藤原帰一
2022.6.06
中国の名匠チャン・イーモウが、文化大革命時代の1969年を背景に撮り上げたノスタルジックな味わいのドラマである。強制労働所を脱走した男(チャン・イー)が、砂漠地帯の小さな村にやってくる。彼の目的は、生き別れた娘の姿が映っているというニュース映画を見ること。そこで男はたくましい孤児の少女(リウ・ハオツン)やベテランの映写技師(ファン・ウェイ)と出会う。 チャン監督が若き日の映画にまつわるさまざまな思い出を投影した本作には、ユーモラスなエピソードがぎっしり詰まっている。主人公と少女が繰り広げるフィルム缶の争奪戦。砂ぼこりにまみれたフィルムを上映会のために洗って乾かす、映写技師と庶民のほほ笑ましい...
2022.5.20
「美術館から見た高倉健」と題して、追悼特別展「高倉健」巡回の美術館の学芸員から見た高倉健やその作品を語った記事を再掲載します。 3回目はいわき市立美術館館長(当時は副館長)、杉浦友治さんさん執筆の5回シリーズ一挙公開です。 「電光空手打ち」(1956年) 人柄浮かぶ手書きの文字 高倉健が生涯に出演した205本の映画すべてから、出演場面の抜粋映像を紹介し、初期から晩年にいたる演技や顔、しぐさなどの変遷を動画でたどるのがメイン展示です。また、スチール写真やポスター、高倉健が所蔵していた脚本36点も展示します。こうした貴重な資料からは、さまざまなことを考えさせられます。 初主演作「電光空手打ち...
杉浦友治
2022.5.06
非業の死を遂げた南宋の武将・岳飛が残した詩、「満江紅」をモチーフに、南宋朝廷内部に渦巻く謀略を描いた壮大なスケールの歴史劇。 東京国際映画祭2023ガラ・セレクションにて上映。 Ⓒ2023 Huanxi Media Group Limited(Beijing) and Yixie(Qingdao) Pictures Co., Ltd. All Rights Reserved.
デビュー作「紅いコーリャン」(1987年)でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、世界的知名度を得たチャン・イーモウ監督。その後も「紅夢」(1991年)、「秋菊の物語 」(1992年)、「初恋のきた道 」 (1999年)、「HERO」 (2002年)、「LOVERS 」 (2004年)などを手掛け、中国を代表する名匠の一人に数えられる。本作は、チャン・イーモウ監督にとって初めてのスパイ・サスペンス。 物語の舞台は、1934年冬の満州国ハルビン。特殊訓練を受けた中国共産党のスパイチームの男女4人が〝ウートラ計画〟を実行するため潜入していた。ウートラ計画とは日本軍の罪を世界に知らしめるため、秘密施...
1969年、文化大革命期の中国。男(チャン・イー)は娘が映っているニュース映画を一目見ようと、強制労働所から脱走して映画の移動上映会場がある砂漠の中の町につく。折しもそのフィルムを奪った子ども(リウ・ハオツン)を目撃、後を追った。ようやく取り戻すものの、今度はフィルムが砂まみれになってしまう。映画を心待ちにする町の人々となんとかフィルムを洗浄して上映にこぎ着けるのだが……。 © Huanxi Media Group Limited
チャン・イーモー監督が熱望した高倉健主演の中国を舞台にしたロードムービー。長らく民俗学者の息子・健一(中井貴一)と疎遠になっていた剛一(高倉健)。嫁(寺島しのぶ)から連絡があり見舞いに行くと、健一は重病で伏せっていた。そして嫁から、中国の有名な俳優リー・ジャーミンと交わした約束を果たせず悔やんでいると聞く。剛一は息子の代わりに彼が志なかばにしている仕事をやり遂げようと、無謀にも一人で中国に渡った(追悼特別展「高倉健」図録より) ©️2005 Elite Group(2004) Enterpries Inc.