バブル経済真っ只中だった80年代後半の日本を舞台に、11歳の少女の視線を通じて、人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出す。監督・脚本は、前作「PLAN 75」(2022年)で高齢者に生死の選択を迫る衝撃的な物語で生きることの意味を問いかけ、第75回カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞をはじめ、第77回毎日映画コンクール脚本賞や第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞&優秀脚本賞など、同年の映画賞を総なめにした早川千絵。主人公・フキを「ふれる」(23年)で母を亡くした小学4年生の美咲を演じ、本作にオーディションで抜擢された鈴木唯が演じる。フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキー、そして、フキが出会う大人たちで中島歩、河合優実、坂東龍汰ら実力派俳優陣が共演する。
<あらすじ>
1980年代後半のある夏。両親と郊外の家に暮らしている11歳のフキは、ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持っている。得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごし、ときどき垣間見る大人の世界は、刺激的だけどなんだか滑稽で、フキは楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父と、仕事に追われる母との間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。