リッチランド

公開日: 2024年07月05日

リッチランド

「マンハッタン計画」を支える核燃料生産拠点「ハンフォード・サイト」に従事する労働者や家族が住むベッドタウンとなったワシントン州南部に位置するリッチランド。「オッペンハイマー」のその後のアメリカは、〝核〟とどう向き合ってきたのか、その罪と痛みを背負うのは誰なのか…。リッチランドの成り立ちと現在の姿を追い、科学の進歩がもたらした人類の〝業〟を重層的に浮かび上がらせるドキュメンタリー。

監督は、チャウシェスク政権下のルーマニアから政治亡命者として逃れてきた両親を持ち、「The Motherhood Archives」(2013年)や「Yours in Sisterhood」(18年)などのドキュメンタリー作品を手がけたアイリーン・ルスティック。広島出身で米国在住の被爆3世のアーティスト川野ゆきよが、祖母の着物を解いた布を自らの髪で縫い上げ、長崎に落とされた「ファットマン」の造形を実物大の大きさで形作ったインスタレーション作品「(折りたたむ)ファットマン」が本作のメインビジュアルで使われている。

リッチランドの人々は町を愛し、隣人を愛し、仕事に誇りを持って暮らしている。地元リッチランド高校のフットボールチームのトレードマークは「キノコ雲」と「B29爆撃機」、チーム名は「リッチランド・ボマーズ」。リッチランドは、1942年からのマンハッタン計画における核燃料生産拠点「ハンフォード・サイト」で働く人々とその家族が生活するために作られた町だ。人々は、「原爆は戦争の早期終結を促した」と誇りを口にする一方で、核廃棄物による汚染への不安を今も抱えながら暮らしている。町の歴史を誇りに思う者がいる一方で、多くの人々を殺戮した原爆に関与したことに逡巡する者もいる。そしてまた「ハンフォード・サイト」自体、ネイティブアメリカンから奪った土地だったのだ。様々な声がある中で、被爆3世であるアーティストの川野ゆきよがリッチランドを訪れ、町の人々との対話を試みるが…。

© 2023 KOMSOMOL FILMS LLC

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公式サイト: https://richland-movie.com/

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