この1本:「すべてうまくいきますように」 〝安楽死〟奔放な悲喜劇
多作で多彩なフランソワ・オゾン監督。時事問題にも嗅覚鋭く、教会の性的虐待を暴いた「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(2019年)に続き、今作は安楽死を描く。死は、そして生は誰のものかを考えさせる。 エマニュエル(ソフィー・マルソー)の、85歳の父親アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れた。アンドレは体の自由が利かなくなり、元通りの生活が送れなくなることを悟って「人生を終わらせてくれ」と懇願する。妹のパスカル(ジェラルディーヌ・ペラス)と共に翻意を促すものの、アンドレの決意は固い。 オゾン監督らしくというべきか、扱う題材は深刻でも、映画のタッチは軽快だ。一度決意したアンドレは、動揺...