この1本:「女たち」 今のきしみ、孤独の先
邦画も洋画も、女性の現在地を問う作品が次々と公開されている。そのものズバリのタイトルを掲げたこの映画、「おだやかな日常」「ふゆの獣」などの異才、内田伸輝監督が、コロナ禍に「女たち」を描く。 美咲(篠原ゆき子)の人生は散々だ。就職氷河期で望む仕事に就けず、介護する母親美津子(高畑淳子)に口汚く罵倒される。美津子を担当する訪問介護士の直樹(窪塚俊介)との結婚が夢だったのに、彼は妻帯者だった。おまけに心の支えとなっていた親友の養蜂家、香織(倉科カナ)が急死する。 狭く濃密な田舎の人間関係にコロナ禍のいら立ち。美咲は憤りと不満を募らせるもののなすすべがない。内田監督はしかし、彼女を悲劇のヒロインと...