やすだ けん
1973年12月07日 生まれ
「安田顕」記事件数
12月9日全国公開される「ラーゲリより愛を込めて」は、シベリア抑留研究者なら誰もが知る山本幡男の半生を描いた作品。故辺見じゅんのノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を原作に、フィクションを交えながら壮絶な抑留体験を再現した。「糸」などの大ヒット映画を監督する一方、「菊とギロチン」でドロドロとした人間の業を描いた瀬々敬久監督は、極寒のシベリアから何を表現するのか。「伝えたいことは、厳しい状況でも希望を捨てるなということに尽きます」 絶望の収容所世界 「希望」を描く前提となる絶望の抑留生活はどのように描かれたのか。スターリン時代の収容所文学を読んできた記者にとっては、まずそこ...
萱原 健一
2022.10.11
春男(安田顕)は地元密着型のスーパー「ウメヤ」の万年主任。信頼する店長が急死し、職場や家庭から次の店長と期待されるが、本部から年下のさえない新店長が来てがっかり。店員が商品を盗み、長女(岡田結実)に恋人ができ、憎めないお父さんが一喜一憂するコメディーだ。 つぶやきシローの同名小説の映画化。正直者でお人よし、うまく立ち回るのが不得手な中年男性を安田がユーモアと哀愁を交えて好演。世のお父さん方が「あるある」とうなずきそうな空回りのエピソードが笑いと共感を誘う。ただ、春男は店でも家庭でも脳内の妄想がさく裂。モノローグが多すぎて、うっとうしく感じるほどだ。後半は昇進をめぐるドタバタから一転、娘2人を...
2021.12.16
アニメーション制作スタジオ・MAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品「アリスとテレスのまぼろし工場」(毎日新聞社など製作委員会)が公開されている。 突然起きた製鉄所の爆発により外との接続が遮断され、時までもが止まってしまった町・見伏が舞台の本作。いつか元に戻ったときのために「変わらないこと」を強要される中で、退屈な毎日を過ごす14歳の菊入正宗と佐上睦実、そして野生の狼(おおかみ)のような謎の少女・五実が恋をして、未来へともがく姿を描いている。 映画を見る前に読んだ、脚本・監督を務めた岡田麿里氏が手掛けた原作小説は、少年少女たちの葛藤を通して「生きること」について...
きどみ
PRワーナーブラザース映画、MAPPA
2023.9.22
大ヒットを記録した「花束みたいな恋をした」(2021年)や、第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞した「怪物」(23年)の脚本家・坂元裕二の最新作は、Netflixとの初タッグとなるオリジナル長編映画。実在する豪華クルーズ船MSCベリッシマを舞台に、ミステリアスな殺人事件と、事件現場にたまたま居合わせてしまった2人が繰り広げるロマンティックコメディ。富裕層の乗客に無心で仕えるバトラーを吉沢亮。ある目的を秘めてクルーズ船に乗り込んだ謎の女性を宮﨑あおいが演じている。「大豆田とわ子と三人の元夫」の演出を手がけた瀧悠輔が監督を務めた。 乗客の理不尽なクレームに、土下座も厭わず対応するその〝プライドのな...
2022年10月1日に、79歳で惜しまれつつこの世を去ったアントニオ猪木。プロレスラーにして実業家、政治家としてリングの内外で伝説的なエピソードを数々残してきた人間・アントニオ猪木に迫るドキュメンタリー。猪木が設立した新日本プロレス創立50周年を記念して製作され、没後1年のタイミングで公開される。 写真:原 悦生 Ⓒ2023映画「アントニオ猪木をさがして」製作委員会
謎の組織SHOCKERから脱走した緑川ルリ子と本郷猛。組織は人体を改造し殺傷能力を強化する「昆虫合成型オーグメンテーションプロジェクト」を進めており、本郷はその最高傑作だった。ヘルメットをかぶることによって超人的な力を発揮する。計画を阻止しようとする政府の後ろ盾を得た本郷と緑川は、組織が次々と放つ刺客と対決する。 監督、脚本は、「エヴァンゲリオン」4部作の企画・原作や、「シン・ゴジラ」(2016年)の総監督、脚本を務めた庵野秀明。石ノ森章太郎の〝原点〟をリスペクトしつつ、新たなオリジナル作品として製作。本郷猛(仮面ライダー)を演じるのは池松壮亮、緑川ルリ子を浜辺美波、⼀⽂字隼⼈(仮面ライダー...
第二次世界大戦後の1945年、厳冬のシベリア。零下40度の寒気の中、わずかな食料で過酷な労働を課せられ死者が続出する収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男はいた。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます」。絶望する抑留者たちに、山本は訴え続けた。山本は日本にいる妻と4人の子どもと一緒に過ごす日が訪れることを信じ、劣悪な環境にいる仲間を励ました。その行動と信念は、日本人捕虜たちの心を次第に溶かしていく。 終戦から8年後、ようやく山本に妻からのハガキが届く。「あなたの帰りを待っています」。1人で子どもたちを育てている妻を思い、山本は涙を流さずにはいられなかった。...
降旗康男監督の遺作。 富山の漁港で殺人事件が起きる。刑事の四方篤(岡田准一)は容疑者の田所啓太(小栗旬)、被害者の川端悟(柄本佑)が25年ぶりに再会。四方は過去のある秘密に向き合うことになる。
幾度となく関係が途切れても必ずつながる親子の半生を描いた映画「とんび」。重松清の小説を基に映画「64 -ロクヨン-」などの瀬々敬久が監督し、不器用な父親の市川安男(ヤス)を阿部寛、その息子の旭(アキラ)を北村匠海が演じる。 ぶっきらぼうで勘違いされやすい日本一不器用な男・ヤスと、母を事故で亡くして以来、町の人々に助けられながら育った息子・アキラの物語は、不朽の名作として愛され、これまでに2度、映像化された人気作。 ©2022『とんび』製作委員会