「メグレと若い女の死」
ジョルジュ・シムノンの「メグレ警視」シリーズ、久々の映画化である。かつてシムノン原作の「仕立て屋の恋」を手がけたパトリス・ルコントが監督を務めた。1953年、パリ・モンマルトルのバンティミーユ広場で若い女性の刺殺体が発見される。捜査を担当するメグレ(ジェラール・ドパルデュー)は、わずかな手がかりをたどり、被害者の身元さえわからない事件の真相に迫っていく。 愚直に現場主義を貫くメグレの視点で進行する映像世界には、今どきのクライムスリラーのような激しい見せ場は一切ない。娘を亡くしたつらい過去を持つメグレが、地方出身者である被害者の境遇に寄り添い、事件にのめり込んでいく姿を描出。パリの裏町が寂れた...