特選掘り出し!:「遠いところ」 現実をありのままに
沖縄・コザ。17歳のアオイ(花瀬琴音)は祖母に幼い息子を預け、朝までキャバクラで働き生活費を稼ぐ。夫マサヤは仕事を辞め、職を探さずに金を無心。アオイに暴力を振るう。社会に適応できない若い男女の悲惨な話に見えるが、貧困と性差別、自己責任の圧力がリアルに描かれ、見る者に迫る力作だ。 アオイはなぜ離婚しないのか、警察に行かないのかと思うかもしれない。しかしこれが現実。工藤将亮監督は撮影の5年前から沖縄の若者から聞いた多くの実話を基に、セリフやキャラクターを構築。アオイの部屋やコザの路地なども含め映画にウソがない。物語に現実を持ち込んだ。「豚と軍艦」などの今村昌平監督に通じる映画作りも垣間見える。奇...