「蝶の渡り」 複雑な歴史のなかで懸命に生きる人々
1991年、ジョージア。ソ連からの独立を間近に控え、にぎやかに新年を祝う若者たち。独立を宣言するが、すぐに新たな戦争が始まる。27年後、画家のコスタ(ラティ・エラゼ)が暮らす祖父母の代からの古い家に集まったのは、かつての芸術家仲間。そこに戻ってきたコスタの元恋人ニナ(タマル・タバタゼ)に、アメリカ人コレクター(マイケル・レスリー・チャールトン)が一目ぼれしてしまう。 貧しい暮らしを強いられているコスタをはじめ、登場人物たちはどこか楽観的だ。アートと音楽に囲まれ、雑然としたなかに美があり、手をつなぐ人々の間にはあまり根拠はなさそうだが確かな希望があるように見える。監督・脚本は、「シビラの悪戯」...