Yorgos Lanthimos
1973年9月22日 生まれ
映画監督「女王陛下のお気に入り」(2018年)「哀れなるものたち」(2023年)「憐れみの3章」(2024年)
前作「哀れなるものたち」で世界の映画賞を総なめにしたヨルゴス・ランティモス監督がさらなる毒を込めて送り出した、3章仕立てのオムニバス奇譚(きたん)集である。 三つの物語は全く独立しているが、ウィレム・デフォー、エマ・ストーン、ジェシー・プレモンスら同じ俳優陣が違う役で登場する。これが三つとも、奇妙きてれつ。 第1章「R.M.F.の死」。ロバート(プレモンス)は勤め先の上司レイモンド(デフォー)の言うなり。起床時間、朝食のメニュー、読む本から妻との性交渉まで、彼の立てた予定に従うように求められ、毎日報告する。ところがある日、車で事故を起こして相手を入院させるという指示を受け、初めて拒絶する。...
2024.9.27
「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督が手がけたのは、ゴシックホラー調のフランケンシュタイン映画。皮肉なセリフと毒のあるユーモア、奇抜でグロテスクな描写、それに広角レンズや凝ったアングルで作られるけれんみたっぷりの映像。技巧を駆使した奇想天外な物語は、現代社会に鋭い風刺として突き刺さる。 ビクトリア朝時代のロンドン。天才外科医〝ゴッド〟バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって死の淵からよみがえったベラ(エマ・ストーン)は、肉体は成人でも頭脳は赤ん坊同然。バクスターの屋敷に隔絶されたまま、知能が急速に発達する。常識や良識の束縛がないから純粋培養、好奇心と欲望の...
2024.1.26
昨年のベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝き、つい先日の米ゴールデングローブ賞では作品賞、主演女優賞(共にコメディー/ミュージカル部門)を受賞。ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンという「女王陛下のお気に入り」(2018年)コンビが新たに放つ「哀れなるものたち」(23年)は、来る第96回アカデミー賞でも本命の一本として授賞式当日を迎えるだろう。 説明困難 規格外の奇々怪々 ところがランティモスがスコットランドの作家アラスター・グレイの同名小説を翻案し、長年の構想を経て実現させたこの映画、かいつまんで説明するのが難しい。昨年のアカデミー賞の主役だった「エブリシング・エブリウェ...
高橋諭治
2024.1.17
第91回アカデミー賞で主演女優賞を受賞した「女王陛下のお気に入り」(2018年)や第96回アカデミー賞で4部門を受賞した「哀れなるものたち」(23年)など、独創的世界観を描き出すヨルゴス・ランティモス監督による本作。選択肢を取り上げられた中、自分の人生を取り戻そうと格闘する男。海難事故から帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官。奇跡的な能力を持つ特別な人物を懸命に探す女。という3つの奇想天外な物語で、ユーモラスかつ大胆不敵に〝愛〟と〝支配〟を描き出す。プレミア上映された第77回カンヌ国際映画祭で、ジェシー・プレモンスが男優賞を受賞した。 ©2024 Searchlight Picture...
妻と3⼈の⼦供がいるチェロ奏者の男は、オーケストラのリハーサルの帰り、地下鉄内で奇妙な⼥と遭遇する。⼥は、男を追いかけ家にやって来ると、男のふりをして家族に溶け込み始める。 JAIHOにて2024年5月5日より日本初独占配信
18世紀初頭、アン女王(オリビア・コールマン)が統治する英国はスペイン継承戦争でハプスブルク家(オーストリア)側に付き、フランスとの戦争の渦中にあった。アン女王を意のままに操り、絶大な権力を握る女官長のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)。そこにサラの従妹・アビゲイル(エマ・ストーン)が召使として働くことになる。ある夜、アン女王とサラが友情以上の親密さをあら露わにする様子を目撃してしまったアビゲイルは……。18世紀初頭のイングランドの宮廷を舞台に、孤独な女王とその寵愛(ちょうあい)を奪い合う女官と侍女を描いた禁断の歴史絵巻。 © 2024 20th Century Studios. All R...
アカデミー賞9部門で10のノミネートされて、全世界でヒットを記録した「女王陛下のお気に入り」(2018年)のヨルゴス・ランティモス監督最新作。原作は、スコットランドの作家アラスター・グレイ著の同名の傑作ゴシック小説。第80回ベネチア国際映画祭で最高賞となる金獅子賞を受賞。第96回アカデミー賞で、主演女優賞(エマ・ストーン)、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を獲得。 自ら命を絶った若き女性ベラが、天才外科医ゴッドウィン・バクスターの手によって奇跡的に蘇生。よみがえったベラは〝世界を自分の目で見たい〟と、放蕩(ほうとう)者の弁護士ダンカンの誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒...