「あなたの顔の前に」  © 2021 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved

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2022.6.24

あなたの顔の前に

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

長らくアメリカで暮らし、韓国にいる妹、ジョンオク(チョ・ユニ)を訪ねた元女優のサンオク(イ・ヘヨン)。姉妹はオープンエアのカフェや公園で語り、おいっ子と会ったり、かつて住んでいた場所を訪ねたりするが、サンオクが帰国した理由は明かされない。午後には彼女に出演依頼をしたいという映画監督(クォン・ヘヒョ)と対面する。

韓国の名匠、ホン・サンス監督がベテラン女優とタッグを組んだ、ある一日の物語。時間や命をめぐるドラマチックな題材だが、監督は何気ない景色を背景に死生観をスケッチしていく。見る者を引き込む長回し、たわいない会話劇や反復からテーマを浮かび上がらせるホン・サンス節はそのままに、〝世界の美しさ〟を再発見させてくれる。監督の公私にわたるパートナーのキム・ミニが、プロダクションマネジャーを務める。青年の惑いや孤独をモノクロで描き、ベルリン国際映画祭脚本賞を受賞した「イントロダクション」も同時上映。1時間25分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・テアトル梅田ほか。(細)

推しの韓流:「イントロダクション」「あなたの顔の前に」よもやの涙 ホン・サンスの新境地

テクニック!

ある女性の一日を切り取っただけなのに、彼女の幼少期から未来までの長い時空を見事に捉えている。その技は「イントロダクション」でもさえた。「あなたの」では、男女がたばこを吸うシーンをキスの代用のように見せて、続く2人のバックショットに生の切なさをにじませた。(光)

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