Lee Hye-yeong
1962年11月24日 生まれ
「小説家の映画」(2022年)「あなたの顔の前に」(2021年)
我が道を行く韓国のホン・サンス監督、その作品群はもはや映画の1ジャンル。大したことは起こらないまま登場人物はたわいないおしゃべりに興じ、酒を飲んでくだを巻く。見終わってなんだこれ、と思う向きも多かろうが、その会話とだらしなさにえも言われぬ味がある。 今作の主人公は、久しく書けない有名小説家のジュニ(イ・ヘヨン)。郊外に住む後輩の書店主(ソ・ヨンファ)を訪ねてきた。案内された観光名所で旧知の映画監督ヒョジン(クォン・ヘヒョ)夫妻に遭遇し、3人で散策していると表舞台から遠のいた有名女優ギルス(キム・ミニ)とばったり出会う。ギルスに誘われて会合に赴くと、そこは後輩の書店だった。参加していた詩人とジ...
2023.6.30
長らくアメリカで暮らし、韓国にいる妹、ジョンオク(チョ・ユニ)を訪ねた元女優のサンオク(イ・ヘヨン)。姉妹はオープンエアのカフェや公園で語り、おいっ子と会ったり、かつて住んでいた場所を訪ねたりするが、サンオクが帰国した理由は明かされない。午後には彼女に出演依頼をしたいという映画監督(クォン・ヘヒョ)と対面する。 韓国の名匠、ホン・サンス監督がベテラン女優とタッグを組んだ、ある一日の物語。時間や命をめぐるドラマチックな題材だが、監督は何気ない景色を背景に死生観をスケッチしていく。見る者を引き込む長回し、たわいない会話劇や反復からテーマを浮かび上がらせるホン・サンス節はそのままに、〝世界の美しさ...
2022.6.24
第74回ベルリン国際映画祭で最新作「A Traveler's Needs」(2024年)が銀熊賞(審査員大賞)を受賞し、同映画祭で通算5度目の銀熊賞を受賞した名匠ホン・サンス監督の日本公開最新作。主人公のビョンスが訪れた インテリアデザイナーの旧友のアパートでの出来事を、階ごとに4つの章立てで描く。 映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い...
「私が殺されたらあなたが報道してください」。死を予告する謎の電話から始まるストーリー展開をキャリアウーマンが抱える不安と欲望などの心理描写を映し出しながら描くサスペンス・スリラー。 生放送5分前、テレビ局の看板キャスター・セラ(チョン・ウヒ)のもとに「殺される」と死を予告する情報提供電話がかかってくる。いたずら電話として片づけるには気が重いセラ。スクープを掴むチャンスだという母ソジョン(イ・ヘヨン)の言葉に背中を押され情報提供者の自宅に向かうと、そこで情報提供者のミソと彼女の娘の遺体を発見する。その日以来、事件のことが忘れられず取材を続けるセラは事件現場でミソの主治医だった精神科医イノ(シン...
ホテル〈エムロス〉の宿泊客は、クリスマスと新年のポジティブな雰囲気に浮かされていた。ホテルのマネージャーソジン(ハン・ジミン)は、占い師に「年末までに愛の告白を受ける」と言われ、15年も片思いをしている男友達のスンヒョ(キム・ヨングァン)との未来を期待していたが、思いがけず彼の結婚の知らせを聞くことになり、いきなり婚約者(コ・ソンヒ)を紹介される。 ホテル〈エムロス〉のCEOヨンジン(イ・ドンウク)は、この世のすべてを手に入れたかのような完璧なスペックと見た目の持ち主だが、人生における何もかもがペアで、すべての数字が偶数で終わらないと気が済まないという不思議な強迫症の持ち主だ。自宅のボイラーが...
長くアメリカで暮らしていた元女優のサンオクは久しぶりに帰国し、妹ジョンオクのマンションに身を寄せる。サンオクについて深く知らないと嘆くジョンオクと共に近所のカフェや公園、甥が営んでいるトッポギ店へ赴くサンオク。そして、ぜひ一緒に映画を撮りたいと連絡してきた監督に会うため仁寺洞を訪れるが……。 © 2021 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved