出版社が映画化したい!と妄想している原作本を担当者が紹介。近い将来、この作品が映画化されるかも。
皆様ぜひとも映画好きの先買い読書をお楽しみください。
2024.10.30
阿津川辰海「バーニング・ダンサー」映画化にぴったりな衝撃のドンデン返しサスペンス!
本格ミステリー大賞(評論・研究部門)を受賞した「阿津川辰海 読書日記~かくしてミステリー作家は語る<新鋭奮闘編>~」、超絶技巧を凝らした青春ミステリー「午後のチャイムが鳴るまでは」と、話題作の刊行が続く阿津川辰海さん。今回は、ドンデン返し連発の警察ミステリーを生み出しました。本格ミステリーとしても、異能力バトル作品としても面白い「バーニング・ダンサー」の魅力をご紹介します!
能力者によって組織された捜査チーム
本作の主人公は、元捜査1課刑事の永嶺スバル。永嶺は、犯人を挙げるため違法捜査もいとわなかった捜査1課での職務を失い、「警視庁公安部公安第5課 コトダマ犯罪調査課」に異動しました。メンバーの6人は、全世界で100人と言われる特殊能力者・コトダマ遣いです。しかし、コトダマ遣いであることを条件として集められたためか、仲良し姉妹、田舎の駐在所から来た好々爺(こうこうや)、机の下に隠れておびえる女性、民間人を誤認逮捕しかけても悪びれない金髪男など、捜査能力はまるでなさそうなメンツに永嶺は頭を抱えます。
捜査未経験チームvs.凶悪な犯人のバトル
永嶺が着任早々、異様な事件の報告が入ります。発見されたのは、全身の血液が沸騰した死体と、炭化するほど燃やされた死体。相棒を失った心の傷が癒えぬ永嶺は、コトダマ犯罪調査課のメンバーと捜査を開始します。犯人は「燃やす」のコトダマ遣いで、これからテロを起こすと動画サイトで声明を出し、日本中を混乱と恐怖に陥れます。永嶺たちは、「入れ替える」「伝える」「吹く」「放つ」「硬くなる」「読む」の能力を駆使して、犯人を追い詰めていこうとするのですが……。
衝撃のドンデン返しが待ち受けるクライマックス
捜査未経験者多数のチームを率いて凶悪な殺人犯に挑むという、無謀にも見える闘い。犯人に翻弄されながらも、永嶺が率いるチームは「聞く」の能力で犯行現場にあった物から目撃証言を得て、「伝える」の能力を使って潜入捜査を行い、わずかな手がかりから犯人を追います。その捜査、犯人との闘いは血沸き肉躍るもので、毎月、連載原稿が待ち遠しくてたまらなかったです。特にラストのドンデン返しの衝撃は大きく、読後、大興奮で阿津川さんにメールを送ったことを覚えています。書籍で一気に読める方が、うらやましいです……!
コトダマという能力は、映像化すると小説とはまた別の迫力や美しさが生まれそうだと、映画化を想像してはワクワクしています。個性が強いメンバーと犯人も、演じがいのあるキャラクターばかりです! 阿津川さんが描く最高峰の謎解きを堪能できる警察ミステリー、ぜひご注目ください。