愛なのに  ©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ

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2022.2.24

特選掘り出し!:愛なのに エゴと尊さ、もつれて軽妙

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)。

「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫と「愛がなんだ」の今泉力哉。快調なヒットメーカー2人が、R15+指定の恋愛映画を製作するコラボ企画が実現。その第1弾の本作では、今泉が脚本を提供し、城定が監督を務めた。

古本屋店主の多田(瀬戸康史)が女子高校生の岬(河合優実)から求婚された。困惑しつつまんざらでもない多田だったが、彼はかつて想(おも)いを寄せた一花(さとうほなみ)のことが忘れられない。その頃、一花は浮気性の亮介(中島歩)との結婚準備を進めていた。

亮介の浮気相手のウエディングプランナー(向里祐香)を加えた男女5人のもつれた人間模様が、生々しくも軽妙な会話を軸に展開。シャイなアラサー男といちずな少女のやりとりがほほ笑ましくもスリリングに描かれる一方、別の男女のベッドシーンで男にとってトラウマもののセリフ「セックス、下手ですよね?」がさく裂し、絶妙なまでに気まずい笑いを生む。

エゴや欠点をさらけ出して右往左往する人間のおかしさをあぶり出しながら、恋愛の苦しみと尊さにも触れた佳編。話題作への出演が相次ぐ河合が、ここでも抜群に素晴らしい。1時間47分。東京・新宿武蔵野館、大阪・テアトル梅田(3月4日から)ほか。(諭)