じょうじょう ひでお
監督/脚本「夜、鳥たちが啼く」(2022年)「よだかの片想い」(2022年)「ビリーバーズ」(2022年)「女子高生に殺されたい」(2022年)「猫は逃げた」(2021年)
市役所職員の佐々木(北村匠海)は、先輩の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の愛美(河合優実)の弱みに付け込み肉体関係を強要していると知り、正義感の強い宮田(伊藤万理華)と愛美のアパートを訪ねる。しかし、事情を知った裏社会の金本(窪田正孝)は高野を脅迫し、路上生活者に生活保護を受給させ搾取しようとする。一方、金本の手下でドラッグ売人の山田(竹原ピストル)は愛美に佐々木を誘惑させようとする。 染井為人の同名小説の映画化。生活保護制度を食い物にする悪党と、善から悪に変貌する人間を小気味よく出し入れし、道徳観など吹き飛ばす向井康介の脚本が痛快だ。悲惨さや絶望、後悔といった心情さえも凌駕(りょうが)する...
2025.3.28
「カサブランカ」「レイジングㆍブル」「雨に唄えば」「風と共に去りぬ」「アラビアのロレンス」「シンドラーのリスト」「めまい」「オズの魔法使」。映画製作者を教育し、アメリカにおける映画芸術の遺産を 顕彰 するアメリカの映画団体「アメリカンㆍフィルムㆍインスティチュート(American Film Institute、AFI)」が選定したアメリカ100大名作映画選の3位から10位までの作品には共通点がある。 「設計図」なしに名画は生まれず マーティンㆍスコセッシ(「レイジングㆍブル」)、スティーブンㆍスピルバーグ(「シンドラーのリスト」)、アルフレッドㆍヒチコック(「めまい」...
洪相鉉
2025.3.19
コロナ禍の初期、国内の映画館が休業要請などで苦しんでいた2020年5月20日、アカデミー映画博物館が多くの人々の慰めになる美談のツイートをした。「ミッドサマー」の主演女優のフローレンスㆍピューが劇中で着ていたメイクイーンのドレスを6万5000ドルで落札したという内容。1万本を超えるシルクフラワーで覆われたこのドレスの代金を製作会社のA24は自社所在地のニューヨークの消防士と家族を支援するNPOに寄付し、コロナ禍の被害に遭った人々を助け、それ以外にも同作の小道具だけで10万ドルが募金できた。 アリㆍアスター監督の代表作「ミッドサマー」 アメリカを代表するインディペンデント系エンターテ...
2025.1.30
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
「嗤う蟲」1月24日公開 「ひとりたび」2025年公開 「金子差入店」2025年公開 驚くべき力量が光る新人に期待 「Can't wait」という表現がぴったり合う2025年の日本映画ラインアップは 、 「ミッドサマー」に負けない 城定秀夫のビ レッジ<狂宴>スリラー「嗤う蟲」への期待で始まる。「朝がくるとむなしくなる」 で 新進気鋭の女性作家としての存在を印象づけた石橋夕帆の新作で、すでに韓国 の 観客を感動させた「ひとりたび」も期待される中、何より筆者が応援したいのは 、 満を持して登場した新人の驚くべき力量が光る古川豪の「金子差入店」である。劇場で感動の涙...
2024.12.28
若くしてデビューしたが、その後は鳴かず飛ばずの小説家の慎一(山田裕貴)。同棲(どうせい)していた恋人に去られ、鬱屈した日々を送っていた彼のもとに、先輩の元妻の裕子(松本まりか)が息子を連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らした一軒家を2人に提供、自身は離れのプレハブで寝起きを始める。裕子はさみしさに耐えられず、出会いを求め夜の街に出かけていく。 原作は佐藤泰志の短編小説。疑い深く不安と自身へのいらだちから相手を傷つけてきた慎一と、母としての責務と埋められない孤独との葛藤で苦しむ裕子。ぎごちない心を体現した2人が、これまでのイメージを拭い去って役に血を通わせた。危うさやもろさが、息づかいや目の...
2022.12.09
監督20年、手がけた作品100本超 監督歴20年、城定秀夫監督がついに来た。ピンク映画から出発して映画やVシネマなどを撮りまくり、その数100本超。知る人ぞ知る存在として注目され、2020年、みずみずしい青春映画の快作「アルプススタンドのはしの方」でブレーク。22年は「愛なのに」「女子高生に殺されたい」「ビリーバーズ」と3作が公開される。 人気俳優を起用し、公開館数も拡大。一気に全国区の勢いだが、当人は淡々と受け止めている。「『アルプススタンドのはしの方』で少しは世に広まったんですけど、『女子高生に殺されたい』はその前から動いてる企画だし、たまってたものがここに来て日の目を見たという感...
勝田友巳
2022.3.28
「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫と「愛がなんだ」の今泉力哉。快調なヒットメーカー2人が、R15+指定の恋愛映画を製作するコラボ企画が実現。その第1弾の本作では、今泉が脚本を提供し、城定が監督を務めた。 古本屋店主の多田(瀬戸康史)が女子高校生の岬(河合優実)から求婚された。困惑しつつまんざらでもない多田だったが、彼はかつて想(おも)いを寄せた一花(さとうほなみ)のことが忘れられない。その頃、一花は浮気性の亮介(中島歩)との結婚準備を進めていた。 亮介の浮気相手のウエディングプランナー(向里祐香)を加えた男女5人のもつれた人間模様が、生々しくも軽妙な会話を軸に展開。シャイなアラサー男...
2022.2.24
原作は、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した染井為人のデビュー作「悪い夏」。育児放棄寸前のシングルマザー、彼女を揺すり肉体関係を迫る公務員、裏社会の住人、生活保護の不正受給をするドラッグの売人など、「クズとワルしか出てこない」と話題になった小説を「女子高生に殺されたい」(2022年)や「ビリーバーズ」(22年)、「よだかの片想い」(22年)など、数多くの話題作品を手掛けてきた城定秀夫監督が映像化した。脚本は、「ある男」(22年)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した向井康介。真面目に働いていた市役所勤務の公務員が、ふとしたきっかけでとんでもない犯罪行為に巻き込まれていく姿を描くサスペ...
コロナ禍によって急速に普及したテレワークを追い風に拡がる田舎暮らしブームを背景に、移住先での常軌を逸した制裁が待つ〝村の掟〟の実態を描くビレッジスリラー。 監督は、「性の劇薬」(2020年)や「女子高生に殺されたい」(22年)などを手掛け、「アルプススタンドのはしの方」(20年)で第42回ヨコハマ映画祭監督賞、第30回日本映画プロフェッショナル大賞監督賞を受賞した城定秀夫。実際に起きた事件を描いた初長編「先生を流産させる会」(21年)など、社会派作品に定評のある内藤瑛亮が脚本を務める。主演は、「まんぷく」「青天を衝け」「特捜9」など、数々のドラマや映画に出演している深川麻衣。共演に「アンメッ...
2011年の連載開始からシリーズ累計430万部を超える湊よりこの大ヒットレディースコミック「セフレの品格(プライド)」(双葉社 JOUR COMICS)が映画化。「初恋」篇に続き、「決意」篇が公開される。 女性作家ならではの感性で、性の欲求を大胆に描いたストーリーが、大人の女性に多くの支持を集めてた原作コミックを、 ピンク映画からキャリアをスタートさせ、幅広いジャンルで高い評価を受ける作品を生み出してきた 城定秀夫監督が、大人の男と女の リアルで複雑な感情のもつれをスクリーンに描き出した。 一樹と定期的に会う関係になった抄子だったが、とある事情から、一樹が17歳の少女・山田咲(髙石あかり...
2011年の連載開始からシリーズ累計430万部を超える湊よりこの大ヒットレディースコミック「セフレの品格(プライド)」(双葉社 JOUR COMICS)が映画化。メガホンをとるのは、「アルプススタンドのはしの方」(2020年)や「女子高生に殺されたい」(2022年)、「ビリーバーズ」(2022年)など、多くの話題作を生み出している城定秀夫監督。派遣社員として働きながら、女手一つで娘を育てているバツ2の主人公・森村抄子を演じるのは、『私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください』(2018年)で初主演を務め、以降も映画やドラマで活躍する行平あい佳。抄子の初恋の相手でバツ1、腕の良さと...
「リベンジポルノって知っていますか?」 図書館で働く桃(松本穂香)の元カレ・健太朗(渡邊圭祐)には、今カノ・莉子(玉城ティナ)がいる。SNSで本人を特定した桃は莉子に接近、「あなたも撮られてないですか」。 彼が撮った二人の秘密の写真データを取り返すため、元カノと今カノの〝秘密の共犯関係〟が始まる。 公開:2023年1月6日 配給:パルコ ©2023「恋のいばら」製作委員会
城定秀夫といまおかしんじが監督と脚本で初タッグ。時代遅れの映画館を舞台に、くすぶっている元映画監督と、映画好きの愛すべきバカ者たちが一瞬の夢を見るために奔走する。 出演は本作が本格的な主演復帰となる小出恵介と、浅田美代子、渡辺裕之、吹越満、藤田朋子、片岡礼子らベテラン俳優陣、人気ミュージシャンの藤原さくらと、Podcast番組が人気の日高七海、さらに、宇野祥平や中島歩、さとうほなみ、小野莉菜、平井亜門ら城定秀夫監督の過去作出演の面々が顔をそろえた。 ©️2022『銀平町シネマブルース』製作委員会
若くして小説家としてデビューするも、その後は鳴かず飛ばず、遂には結婚を前提に同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一(山田裕貴)。そんな彼のもとに、職場の先輩で友人だった邦博の元妻・裕子(松本まりか)が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするのだという。「迷惑をかけて申し訳ない、家が見つかったらすぐに出ていくから」と慎一に詫びる裕子。だが、恋人の去った家に一人暮らすことを重荷に感じていた慎一は、親子が部屋を使ってくれることにどこか安堵していた。 こうして始まった、彼らのいびつな「半...
高校教師の春人は、女子高生に殺されることをひそかに夢みている。ある少女が幼い頃に目を付け、その子の成長を待って進学した高校に赴任し、自然に、しかも少女に迷惑がかからないように殺されるために準備を進めてゆく。しかし同じ高校に、大学時代の元恋人がカウンセラーとしてやってくる。少女の親友や元恋人が、春人の言動を不審に思い始める。古屋兎丸のマンガを映画化。
大学院生のアイコ(松井玲奈)は、顔にアザがあることで人間関係に慎重になっている。アザについての取材を受け、本となって出版されて話題となり、映画化の話が持ち込まれた。アイコは、気が乗らないまま監督の飛坂(中島歩)と会うが、その誠実な人柄にひかれていく。島本理生の小説の映画化。 ©島本理生集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会