ひとしねま

2022.12.21

第77回毎日映画コンクール 作品部門候補作

毎日映画コンクールは、1年間の優れた映画、活躍した映画人を広く顕彰する映画賞。終戦間もなく始まり、映画界を応援し続けている。第77回の受賞作・者が決まった。

第77回毎日映画コンクール作品部門は、日本映画と外国映画それぞれで賞を決定。日本映画は候補5作品から各界の5人の選考委員が討議し、「日本映画大賞」「日本映画優秀賞」を選ぶ。2次選考委員は、作家の朝吹真理子さん▽映画監督の井筒和幸さん▽映画映像研究者の佐伯知紀さん▽明治学院大文学部芸術学科教授、斉藤綾子さん▽日本映画大学理事長の富山省吾さん。

外国映画は、1次選考委員の2度の投票により、「外国映画ベストワン賞」を決める。

ある男


©2022「ある男」製作委員会

平野啓一郎の同名小説を映画化。1人で子どもを育てる里枝は、実家の文具店を訪れた客と親しくなる。男は「大祐」と名乗り、やがて2人は結婚。数年後、子どもができ、親子4人で平穏な生活を送っていたが、「大祐」が仕事中に事故死する。

疎遠だったという大祐の兄が法事に訪れ、遺影を見て「大祐ではない」と告げた。里枝は弁護士の城戸に調査を依頼し、城戸は「大祐」をXと呼んで正体を調べ始める。

妻夫木聡の男優主演賞、窪田正孝の同助演賞、安藤サクラの女優助演賞のほか監督、脚本、撮影、美術、録音と、今回最多9賞で候補入り。

監督 石川慶
脚本 向井康介
撮影 近藤龍人
美術 我妻弘之
録音 小川武
音楽 Cicada
出演 妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、真島秀和

ケイコ 目を澄ませて

 ©2022 「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

生まれつき耳の聞こえないケイコは、プロボクサーとしてリングに立つ。下町の古いジムに所属し、弟と暮らし、ホテルで働きながら、黙々とトレーニングを重ね、試合に臨む。コロナ禍で練習生が減り、会長の体に異変が見つかって、ジムが閉鎖されることになった。会長やコーチが移籍先を見つけてきたものの気乗りせず、試合が刻々と迫ってくる。

実在の聴覚障害を持ったプロボクサーをモデルに、「きみの鳥はうたえる」などで注目を集める三宅唱監督が映画化した。岸井ゆきのの女優主演賞、三浦友和の男優助演賞のほか、監督、撮影、録音の各賞でも候補入り。

監督 三宅唱
脚本 三宅唱、酒井雅秋
撮影 月永雄太
美術 井上心平
録音 川井崇満
出演 岸井ゆきの、三浦友和、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子

さがす



大阪の中学生、楓はだらしない父智と2人暮らし。ある日智が「指名手配中の連続殺人犯を見た」と言い出した。楓は信じないが、智が突然失踪する。警察もまともに取り合わない中で、楓は1人智を捜し、建設工事現場の名簿に智の名前を発見した。現場を尋ねて呼び出すと、見たこともない若い男が現れる。

自主製作した「岬の兄妹」で注目された、片山慎三監督の商業映画デビュー作。オリジナルの脚本を、片山が共同で手がけている。佐藤二朗がコミカルな持ち味を封印し、男優主演賞候補に。伊東蒼も女優助演賞候補入り。

監督 片山慎三
脚本 片山慎三、小寺和久、高田亮
撮影 池田直矢
録音 秋元大輔
音楽 高位妃楊子
出演 佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也


PLAN 75


©2022「PLAN 75 」製作委員会 /Urban Factory/Fusee

75歳以上の高齢者が安楽死を選ぶことができる制度「プラン75」が導入された近未来の日本。1人暮らしのミチは仕事を解雇され、住んでいた団地の取り壊しで転居を迫られる。新しい仕事も住む場所も見つからず、ミチはプラン75を申請することにした。一方、市役所でプラン75の窓口担当のヒロムは、申請に来た伯父と再会する。

早川千絵監督の長編デビュー作。カンヌ国際映画祭で新人監督賞カメラドールのスペシャルメンションを受けた。倍賞千恵子の女優主演賞のほか、監督、脚本、撮影、録音の各賞でも候補入り。

監督・脚本 早川千絵
撮影 浦田秀穂
美術 塩川節子
録音 臼井勝
音楽 Remi Boubal
出演 倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン


夜明けまでバス停で


©2022「夜明けまでバス停で」製作委員会

焼き鳥屋のパートとして働く三知子は、アクセサリー作家として自立すべく作品を作り続けている。ところがコロナ禍で解雇され、寮も追い出されてしまう。新しい仕事も見つからず行き場をなくし、路上生活をするようになった。三知子は公園で生活する元過激派のバクダンと、「自助努力」を求めるばかりの社会に一矢報いるべく、時限爆弾を作り始めた。

高橋伴明監督が、バス停で寝泊まりしていた女性が襲われた事件に材を取り、コロナ禍で分断、孤立が進む社会への異を唱えた。監督賞、脚本賞でも候補となっている。

監督 高橋伴明
脚本 梶原阿貴
撮影 小川真司
美術 丸尾知行
録音 植田中
音楽 吉川清之
出演 板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビー・モレノ、片岡礼子

外国映画ベストワン賞候補5作

約80人の1次選考委員による投票の上位5作品。この5作を再度投票を行い、最多得票作品が受賞作となる。

アネット
Coda コーダ あいのうた
トップガン マーヴェリック
ベルファスト
リコリス・ピザ

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