「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 ©2021 STUDIOCANAL SAS-CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION.jpg

「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 ©2021 STUDIOCANAL SAS-CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION.jpg

2022.12.02

「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ロンドンの上流階級に生まれたルイス・ウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ)。父が亡くなり、家計を支えることになった彼はイラストレーターの仕事を始める。妹の家庭教師のエミリー(クレア・フォイ)と恋に落ち、身分の違いを乗り越えて結婚。末期がんを宣告された彼女との暮らしの中で、子猫の存在が救いになっていく。

19世紀末から20世紀にかけて、当時は不吉な存在といわれていた猫の絵を描き続けた画家の人生を映画化した。

どんな問題に直面しても、自分が愛するもの、美しいと感じるものへの思いを貫き通す天才に、カンバーバッチの個性がぴったりとはまっている。ルイスの目に映っていた世界や、エネルギーやインスピレーションのような〝電気〟を体感できる幻想的な映像も魅力のひとつ。ハチワレ猫の自然な愛らしさには、思わず頰がゆるんだ。

ウィル・シャープ監督。1時間51分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

猫に秘められた物語性にいち早く気づき、その魅力を世に知らしめてくれたルイスに、猫好きとしては感謝するばかり。猫盛りだくさんかと思いきや、映画自体は猫に頼りすぎない普遍的な内容で、夫が死んだ後の自分や、自分が死んだ後の夫の生き方について考えさせられた。(久)

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