「ターミネーター2」より

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2024.8.28

「ターミネーター」シリーズを復習したい人に最適! シリーズのガイドラインをご紹介!(前編)

1984年の「ターミネーター」公開から40年!アーノルド・シュワルツェネッガーのブレークと共に世界的なヒットと続編の製作、そして2024年はシリーズ初のアニメ作品も配信になるなど、今もなお愛されるSFアクション映画の金字塔の「ターミネーター」シリーズを特集します! 

ヨダセア

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「ターミネーター 0」が、〝審判の日〟8月29日(木)よりネットフリックスで世界独占配信開始となる。今作は1997年の日本を舞台にしたSFアクション作品であり、「ターミネーター」シリーズ初のアニメーション作品だ。
 
そして、「ターミネーター」が公開から40周年を迎えるタイミングで、今回は第1作「ターミネーター」から第6作「ターミネーター ニュー・フェイト」まで、これまでに製作された映画「ターミネーター」シリーズ全6作について、作品ごとの概要や特色や魅力を、前後編に分けて振り返る。
 

シリーズ全体に共通するのは〝人類と機械の対立構造〟

このシリーズ全体に共通する前提として、〝人類と機械の対立構造〟がある。近い未来(※)、コンピューター管理で人類を防衛するために作られた「サイバーダイン社」のシステム「スカイネット」が人類を敵とみなして核攻撃を行い、生き残った数少ない人間たちが「抵抗軍」としてサイボーグたちと戦うことになる……というのが大前提である。
 
※核攻撃が行われる〝審判の日〟は、1作目公開時から13年後であった97年8月29日とされる。
 
未来にはタイムトラベルの技術が存在し、抵抗軍のキーパーソンを消すための刺客として戦闘サイボーグ「ターミネーター」が過去に送り込まれてくる。もちろん過去の人々は未来のことを知らないため、突如自分の身に迫る危険に戸惑いながら逃げたり戦ったりすることになる。こういった流れがこのシリーズの王道パターンだ。
 
ちなみに世間的に認知度の高いセリフ「I’ll be back」(すぐ戻る)は1作目をはじめとしてシリーズで何度か使用されている。
 

公開40周年を迎えた、記念すべき第1作「ターミネーター」

ジェームズ・キャメロン監督による記念すべき第1作「ターミネーター」は、84年に公開された。
 
全裸というインパクトある姿で未来の世界から送られてきたターミネーター「T-800」(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、近くにいた不良たちから服を強奪すると、すぐに自身に課せられたミッションを開始する。彼の目的は、未来の抵抗軍を率いる人物ジョン・コナーが生まれる前に、彼の母親であるサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)を抹殺することだ。
 
ほかの同姓同名のサラ・コナーたちが命を奪われていく中、ジョンの母となるサラは未来など知らずに平穏な日常を暮らしていたが、ついに彼女にもターミネーターの魔の手が伸びる。そんな彼女を守ろうと必死で戦うのが、未来のジョン・コナーから派遣されてきた抵抗軍のメンバー、カイル・リース(マイケル・ビーン)だ。
 
当初こそ突拍子もない話に困惑するサラであったが、実際に命を狙われ、カイルに守られたことで彼を信用、それどころか逃走劇の中で互いに好意を抱き、愛を交わすまでに至る。
 
ターミネーターに体を張って大ダメージを与えたカイル・リースは命を落としてしまうが、半壊したターミネーターをプレス機におびき寄せて撃退することに成功したサラの体には、未来のジョン・コナーとなる命が宿り、サラは来たるべき戦いへの覚悟を決める。
 

シュワルツェネッガーの立ち位置が大きく変わった「ターミネーター2」

1作目から7年後に公開された「ターミネーター2」(91年、監督は引き続きジェームズ・キャメロン)では、少年ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)がターミネーターに命を狙われることになる
 
サラ・コナー(引き続きリンダ・ハミルトン)は未来の話を誰にも信じてもらえず精神病棟に閉じ込められ、実の父母がいない環境で育ったジョンはどこか斜に構えた少年になっていたが、そんなジョンを襲うのが新たなターミネーター「T-1000」(ロバート・パトリック)である。
 
新登場したT-1000は液状になったり固まったりと変幻自在の身体を持つ強力なターミネーターで、ダメージを負ったように見えてもすぐに回復して追ってくる執念深さ・しぶとさが印象的だ。
 
一方アーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーター「T-800」の立ち位置は前作から大きく変わる。前作ではサラ・コナーを抹殺しようと冷酷に迫ってきたT-800だが、今作ではT-1000からジョンらを守る味方として未来から送り込まれるのだ。
 
実際に危険な目に遭遇して母サラの話を信じたジョンは、T-800と共にサラと合流、何度も命の危機にさらされながら一丸となって戦い、最終的にはT-1000を溶鉱炉に落下させ、撃退することに成功した。
 
しかし、〝T-1000を倒せば終わり〟とはいかないのがこの映画。今作では未来がターミネーターなど機械側に支配されないよう、サイバーダイン社の持つデータを消し去ることがジョンたちのひとつの目的となる。しかし、全データを抹消するためには、味方として一緒に行動したT-800の存在も消えなければ、情報が後世に残ってしまうというジレンマが発生するのだ。
 
結果として、T-1000撃退後に残されたT-800は合理的判断にもとづき、ジョンの悲しみをよそに自らを溶鉱炉で抹消することを決意。これがかの有名シーン「親指を立てながら溶鉱炉に沈むターミネーター」となった。
 
この親指を立てるサインはジョンがT-800に教えたもの。今作ではこの〝親指〟だけでなく、「Hasta la vista, Baby」(地獄で会おうぜ、ベイビー)といった人間臭いセリフをジョンがT-800に指導する。そういった仕草やセリフを使ってみせるなど友好的なそぶりをみせる彼にはジョンも観客も愛着が芽生えてしまい、最後に自己犠牲精神を見せるT-800の姿に、観客の心はいっそう大きく揺れ動くのだ。
 

キャメロンからジョナサン・モストウ監督にバトンタッチされた「ターミネーター3」

3作目以降、監督はジェームズ・キャメロンではなくなり、1作ごとに交代となっている。
 
ジョナサン・モストウ監督の手がけた「ターミネーター3」(2003年)では〝結局のところ、人類がほぼ滅亡することは遅かれ早かれ避けられない〟というまさかの結末が示された。運命にあらがうための戦いを描いてきた2作目までの流れから考えても、衝撃的な一作だ。
 
母サラを失い、どことなく無気力で弱々しい青年に成長したジョン・コナー(ニック・スタール)。彼の前に現れたT-850(シュワルツェネッガー)は、今回はジョンだけでなく今作のヒロイン、ケイト・ブリュースター(クレア・デインズ)の命も守ろうとする。ケイトは未来における抵抗軍のキーパーソンであるだけでなく、ジョンの未来の妻であることも判明した。
 
彼らの命を狙う新たなターミネーターは、作中で「対ターミネーター用のターミネーター」といった説明もなされるT-X(クリスタナ・ローケン)。メインの姿が女性のターミネーターはシリーズ初であった。T-Xは変幻自在の液体金属ボディーを持つだけでなく、プラズマ砲や他の機械を操作する能力などを備えた強力なターミネーターだ。
 
T-Xは倒すものの、最終的には世界中で核ミサイルが発射される未来は変えられず、T-850の導きによって核シェルターにいたジョンとケイトを残して世界は壊滅状態に。避けられない運命によって人類が〝リスタート〟を強いられるという、絶望的かつ衝撃的ながら一筋だけ希望が残されたような終幕を迎えた。
 
8月29日公開の後編に続く。

<画像使用作品>
 

「ターミネーター2」
4K Ultra HD Blu-ray:7480円(税込み)
発売・販売元:KADOKAWA
※2024年8月現在の情報です。
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ライター
ヨダセア

ヨダセア

フリーライター。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(X・Instagram)やYouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」においても映画や海外ドラマに関する情報・考察・レビューを発信している。

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