「ターミネーター:新起動/ジェニシス」より

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」より© 2015 Skydance Productions and Paramount Pictures Corporation. © 2017 Paramount Pictures.

2024.8.29

「ターミネーター」シリーズを復習したい人に最適! シリーズのガイドラインをご紹介!(後編)

1984年の「ターミネーター」公開から40年!アーノルド・シュワルツェネッガーのブレークと共に世界的なヒットと続編の製作、そして2024年はシリーズ初のアニメ作品も配信になるなど、今もなお愛されるSFアクション映画の金字塔の「ターミネーター」シリーズを特集します! 

ヨダセア

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「ターミネーター」が公開から40周年を迎えるタイミングでの本特集、第1作「ターミネーター」から第6作「ターミネーター ニュー・フェイト」まで、これまでに製作された映画「ターミネーター」シリーズ全6作について、作品ごとの概要や特色や魅力を、前後編に分けて振り返る。今回は後編です。
 
前編はこちらから
「ターミネーター」シリーズを復習したい人に最適! シリーズのガイドラインをご紹介!(前編)
 

「ターミネーター4」でクリスチャン・ベール演じるジョン・コナー。 © 2009 T Asset Acuisition Company, LLC. All Rights Reserved.

シュワルツェネッガーが出演せず、キャストが一新された「ターミネーター4」

「チャーリーズ・エンジェル」などで知られるマックGが監督を務めた「ターミネーター4」(09年)は、これまでに製作された6本の映画で唯一アーノルド・シュワルツェネッガーが出演しなかった作品だ(特殊メクでシュワルツェネッガーの顔に見えるT-800は少しだけ登場する)。
 
核戦争後の世界で、かろうじて生き延びた数少ない人間たちと共にスカイネットとの戦いに挑んでいるジョン・コナー。今作ではジョンをクリスチャン・ベル(「ダークナイト」3部作など)が演じた。パートナーとなるケイトも、俳優をブライス・ダラス・ハワード(「ジュラシック・ワールド」シリーズなど)にえて再登場している。
 
初期型ターミネーター「T-600」のほか、バイク型の「モトターミネーター」や高さ数メートルはある巨大なターミネーターなど、すでに戦いが本格化している時代を描くだけあって、敵の機械たちもバリエーション豊かな作品となった4作目。
 
今作で守るべきキーパーソンとなるのは、第1作で未来から過去に転送されてジョンの母サラを守り、ジョンの父となった存在カイル・リース(アントン・イェルチン)。彼が無事過去に送られて使命を果たせるよう、ジョンらはスカイネット側と慎重かつ激しい戦いを繰り広げる。
 
今作のもうひとりの主人公といえるマーカス・ライト(サム・ワーシントン)。脳と心臓は人間だが身体が機械になっている改造人間。〝人間のような機械〟ターミネーターと対的なマーカスの存在は、従来にもまして人間と機械の境界線について考えさせた。
 
マーカスは、機械の体が原因でジョンらに危険視されるが、自身を人間と信じる彼は抵抗軍に協力することで信頼を得ようとする。しかし、マーカス自身も知らなかったことだが、彼が人間として行動することも、協力的な姿勢で信頼させ、ジョン・コナーをスカイネット側におびき寄せることも、すべてはスカイネットの陰謀。マーカスは人間にまぎれこむためのマシンとしてプログラムされていたことが発覚した。
 
抵抗軍の拠点の情報を得た上に、ジョンをおびき寄せることにも成功したスカイネットはこの機を逃さずに攻撃し、抵抗軍は大打撃を受けることに。ジョンもT-800の攻撃を受けて重傷を負いながら、スカイネットの中枢の爆破だけは成し遂げた。
 
ひん死のジョンに罪滅ぼしの意味で自分の心臓を移植させるマーカス。これからも人類とスカイネットとの戦いは続く……かに見えたが、この物語は一度ここで打ち切られ、第5作では新たな物語がつむがれることになる。
 

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」より  © 2015 Skydance Productions and Paramount Pictures Corporation. © 2017 Paramount Pictures.

シュワルツェネッガーが復帰、リブート映画として製作された「ターミネーター:新起動/ジェニシス」

5作目「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(15年)では、アーノルド・シュワルツェネッガーが再びシリーズに復帰。監督は「マイティ・ソー ダーク・ワールド」のアラン・テイラーが務めた。
 
今作は新たな物語をつむぐリブート映画として製作されたため、ひとつの独立した作品ではあるのだが、1作目や2作目の展開が起きたことを前提として、パラレルワールド的に展開が改変されていく作品という点で、過去作の物語があってこそ成立している作品といえる。
 
未来(2029年)から1作目の舞台である84年に転送されるT-800。それを追うようにジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)に転送されるカイル・リース(ジェイ・コートニー)。ここまでは従来のシリーズの展開と同じに見えたが、その転送に立ち会うジョンが刺客に襲われ、彼を助けようとしたカイルが転送された84年では、1作目とは異なる状況が待っていたのだ。
 
サラ・コナーを襲うはずのT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、もうひとりのT-800(こちらもシュワルツェネッガー)と、サラ自身によってすぐに倒される。リンダ・ハミルトンが演じた元祖サラとは異なり、今作のサラ(エミリア・クラーク)はT-800襲撃時すでにたくましい戦闘力を身につけている。
 
それもそのはず、今作のサラは9歳ですでに命を狙われ、その際に彼女を守ったもうひとりのT-800、通称「オジサン」によって鍛えられて育ったのだ。さらに「ターミネーター2」で登場したT-1000(今作ではイ・ビョンホンが演じた)も登場し、サラやカイル・リースを襲撃。カイルをパニックに陥れる。
 
この物語においてはジョン・コナーでもサラ・コナーでもないカイル・リースが観客に最も近い視点で描かれた。過去も未来もキャラクター像すらも他の作品とは異なる方向にトリッキーに変化していく様子に、カイルが観客とともに混乱し、戦いを乗り越えていったのだ。
 
今作でも人類と機械の戦いが終結したり、〝審判の日〟が完全になくなったりすることはなく、今後もさらにリブート版の物語が継続されるはずであったが、こちらはリブート1作目で企画が頓挫(とんざ)。6作目で再び物語はリセットされることになる。

 
「ターミネーター ニュー・フェイト」より © 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

「ターミネーター2」の続きとして作られた「ターミネーター ニュー・フェイト」

「デッドプール」のティム・ミラー監督のもと、新たに製作された6作目「ターミネーター ニュー・フェイト」(19年)では、改めて物語をリセットし、「ターミネーター2」の続きとして作られた。つまり「新起動/ジェニシス」はおろか、「3」「4」の物語もなかったことにして始まる作品だ。
 
今作で注目されたのは、リンダ・ハミルトンによるサラ・コナー役の再演。今作のサラは「2」の後も必死の戦いを続けたが、未来から執拗(しつよう)に刺客(ターミネーター)を送られた結果、少年ジョン・コナーの命はついに奪われてしまう。息子を失ったその後のサラは、〝飲んだくれのターミネーター・ハンター〟と化していた。
 
一方、ジョンの代わりに未来を担い、命を狙われたのがメキシコに住む若き女性、ダニー(ナタリア・レイエス)。突如襲ってきた新たなターミネーター「Rev-9」(ガブリエル・ルナ)に命を狙われるも、強化人間グレース(マッケンジー・デイビス)がダニーを救い、逃亡の旅に連れ出す。
 
自分は助かるも、自分が狙われたことが原因で父と兄の命を奪われてしまいうろたえるダニー。執拗に追ってくるRev-9にグレースも劣勢となった時、ふたりを救ったのがサラ・コナーであった。
 
今作では、3人の女性それぞれの物語が交錯する。家族を失い戸惑いながらも、たくましい戦士に成長していくダニー。ダニーに救われた経験から過去のダニーを守ると心に誓ったグレースの自己犠牲。そして、ジョン・コナー殺害後のT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)に再会し、今すぐにでも復讐(ふくしゅう)を果たしたい憎悪の念にられながらも、ダニーのためにT-800やグレースと共闘するサラ。
 
最終的にはグレースとT-800がその身を投げ出すことで辛くもRev-9を撃破、生き延びたダニーとサラが未来に備えて動き出すところで幕を閉じている。

<画像使用作品>


「ターミネーター4」
4K ULTRA HD & Blu-rayセット:5280円(税込み)
Blu-ray スペシャルエディション:2619円(税込み)
DVDコレクターズエディション:1551円(税込み)
販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
※2024年8月現在の情報です。
 

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」
4K Ultra HD + Blu-ray:6589円(税込み)
Blu-ray:2075円(税込み)
DVD:1572円(税込み)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2024年8月現在の情報です。
© 2015 Skydance Productions and Paramount Pictures Corporation. © 2017 Paramount Pictures.
 

「ターミネーター ニュー・フェイト」
ディズニープラスのスターで配信中

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ライター
ヨダセア

ヨダセア

フリーライター。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(X・Instagram)やYouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」においても映画や海外ドラマに関する情報・考察・レビューを発信している。

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