第35回東京国際映画祭ラインアップ発表会見に並んだ(左から)今泉力哉監督、橋本愛、福永壮志監督、松永大司監督=勝田友巳撮影

第35回東京国際映画祭ラインアップ発表会見に並んだ(左から)今泉力哉監督、橋本愛、福永壮志監督、松永大司監督=勝田友巳撮影

2022.9.23

レッドカーペット復活! 海外ゲスト多数来日で華やかに 第35回東京国際映画祭

第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。

ひとしねま

ひとシネマ編集部

第35回東京国際映画祭のラインアップが、21日発表された。コロナ禍でもリアル開催を維持してきたとはいえ、制約の中で縮小を余儀なくされてきた。今年は会場を拡大し、上映本数も大幅増。ようやく海外からのゲストも来日できるようになり屋外でのレッドカーペットも復活と、映画祭らしい華やかさを取り戻せそうだ。
 

 

日比谷、有楽町、銀座エリア 10月24日から10日間

映画祭は10月24日から11月2日まで、今回も東京・有楽町、日比谷、銀座エリアの映画館を中心に開催。開幕作品の「ラーゲリより愛を込めて」(瀬々敬久監督)を東京宝塚劇場で上映し、劇場周辺のレッドカーペットをゲストが歩く。TOHOシネマズ日比谷の2スクリーンや丸の内TOEI、丸の内ピカデリーといった映画館も上映会場に加わり、上映作品数も110本と昨年の3割増。


 第35回東京国際映画祭ホームページ

海外作品の監督や出演俳優らゲストも充実。昨年はオンライン開催だった「交流ラウンジ」も、実際に海外からゲストを招く予定だ。ツァイ・ミンリャン、深田晃司両監督の対談などが予定されている。安藤裕康チェアマンは、「映画祭本来の役割である人材育成や交流を強化して、にぎやかになるのでは」と話した。

映画祭の顔となるフェスティバルアンバサダーは、2年連続で橋本愛。映画祭にも以前から足を運んでいたという、熱烈な映画ファン。「お祭り大好き」と言い、昨年は海外の監督や俳優との交流を通して「自分も世界に開いていかないと」と自覚したという。今年は「日本映画界の課題についても発信したい」と意欲的。「こぼれ落ちた人の悲しみに寄り添うのが映画芸術。助け合って世界がちょっとよくなるのではないかな」と訴えた。


「窓辺にて」©2022「窓辺にて」製作委員会 

コンペティション部門 日本映画3本含む賞競う15作

東京グランプリなどの賞を競う「コンペティション」部門には15作品が並んだ。今回は107の国・地域から1695作品の応募があった。日本からは今泉力哉監督「窓辺にて」、松永大司監督「エゴイスト」、福永壮志監督「山女」の3作品。製作国はスペイン、イタリア、キルギス、チュニジアなど多様だが、韓国、中国は存在感が薄い。市山尚三プログラミング・ディレクターは「東アジアからぜひ、という作品がなかった。中国は検閲が止まっているようで、それが影響しているのかもしれない」と話した。


「山女」©YAMAONNA FILM COMMITTEE


コンペティション部門の出品作 カッコ内は製作国

 「1976」 マヌエラ・マルテッリ監督 (チリ/アルゼンチン/カタール)
「アシュカル」 ユセフ・チェビ監督(チュニジア/フランス)
「ザ・ビースト」 ロドリゴ・ソロゴイェン監督(スペイン/フランス)
「窓辺にて」 今泉力哉監督(日本)
「エゴイスト」 松永大司監督(日本)
「ファビュラスな人たち」 ロベルタ・トーレ監督(イタリア)
「輝かしき灰」 ブイ・タック・チュエン監督(ベトナム/フランス/シンガポール)
「カイマック」 ミルチョ・マンチェフスキ監督(北マケドニア/デンマーク/オランダ/クロアチア)
「ライフ」 エミール・バイガジン監督(カザフスタン)
「マンティコア」 カルロス・ベルムト監督(スペイン)
「山女」 福永壮志監督(日本/アメリカ)
「孔雀の嘆き」 サンジーワ・プシュパクマーラ監督(スリランカ/イタリア)
「テルアビブ・ベイルート」 ミハル・ボガニム監督(キプロス/フランス/ドイツ)
「This is What I Remember」 アクタン・アリム・クバト監督(キルギス/日本/オランダ/フランス)
「第三次世界大戦」 ホウマン・セイエディ監督(イラン)


 「エゴイスト」©2023高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

アジアの未来部門 アジアの若手監督の10作

アジアの若手監督作品のコンペ「アジアの未来」は10作品。日本映画は、マヒトゥ・ザ・ピーポー監督「i ai」、中川駿監督「少女は卒業しない」の2作。石坂健治シニア・プログラマーは「世界の混迷を若い感性で捉えている。自信を持ってお薦めする10本」。
 
4回目となる「ジャパニーズ・アニメーション」部門は「ゼロから世界を創る」がテーマ。日本アニメの新作3本に加え、1980年代から2010年代までの4作品に日本の「自画像」を探る「アニメと東京」、ウルトラセブン55周年の記念上映というメニューだ。藤津亮太プログラミング・アドバイザーは「新作では、核となるビジュアルイメージをどう構築するかを見てほしい」とアピールした。
 
「日本映画クラシックス」は、80~90年代に秀作を送り出した「ディレクターズ・カンパニー」の「台風クラブ」「DOOR」「地獄の警備員」「光る女」の、デジタル修復版を上映。いずれも上映機会の少ない作品だ。
 
公開前の新作を集めた「ガラ・セレクション」では広木隆一監督の3作品を上映。「ワールド・フォーカス」では、カンヌやベルリンなど国際映画祭で話題になりながら日本公開未定の作品を上映する。

ライター
ひとしねま

ひとシネマ編集部

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