ふくなが たけし
1982年9月09日 生まれ
映画監督「リベリアの白い血」(2017年)「アイヌモシㇼ」(2020年)「山女」(2023年)「SHOGUN 将軍」(2024年) ※テレビシリーズ
米のテレビドラマの最高峰、エミー賞で18部門を受賞した。ディズニープラスでの配信開始は2月、続編の製作も決まっているが、受賞記念で紹介したい。 戦国末期の日本に英国商船が漂着する。「五大老」の一人で、太閤亡き後の権力闘争のただ中にいた吉井虎永(真田広之)は、船の武器に目をつけ、舵手(だしゅ)のジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャービス)に按針の名を与えて重用する。按針の通訳を、キリシタンの戸田鞠子(アンナ・サワイ)が命じられた。米の作家、ジェームズ・クラベルの小説を映像化した。 五大老の中で孤立しながら、虎永は冷徹に知略を巡らせて権力の頂点に立とうとする。その権謀術策と戦いが物語の縦軸。横...
2024.9.27
18世紀後半、冷害で苦しむ東北の村。17歳の凜(山田杏奈)の一家は先々代が起こした火災の責任を負い、村人からさげすまれ、差別されて生きてきた。ある日、凜の父伊兵衛(永瀬正敏)が村の蔵から米を盗む。凜は犯人を捜す村人の前でとっさに父をかばい、自ら村を去る。凜は足を踏み入れてはならないとされる山奥の森に向かう。そこで出会ったのは山男(森山未來)だった。 遠野物語の民話に着想を得た福永壮志監督と長田育恵のオリジナル脚本は、簡潔で歯切れがいい。村社会の風習と閉鎖性、身分や性差別の中で、一人の女性が自然を受け入れ生き抜く姿を描いた。強い意志を持って変貌していく凜を、山田がたたずまいと瞳の強さで体現。森...
2023.6.30
取材中にしばしば見せてくれた、晴れやかな笑顔は一切封印。「山女」で演じた凜は、笑わず話さず、表情硬く何かをじっと耐え忍ぶ。21世紀生まれの山田杏奈と、江戸時代、冷害に苦しむ東北の農村で貧困と差別の中で暮らす少女とをつないだのは、「森と方言」だった。 江戸時代、冷害に苦しむ農村の少女 父伊兵衛と弟庄吉と暮らす凜の家は、先祖の不始末で田畑を失い村の忌み仕事で糊口(ここう)をしのいでいる。家を守るために伊兵衛の不始末を引き受けた凜は、自ら山に入り、〝山男〟と出会う。差別も抑圧もない暮らしの中に自由を感じたのもつかの間、村人たちは凜を天候回復のためのいけにえにしようと決めた。 凜...
勝田友巳
2023.6.27
第35回東京国際映画祭のラインアップが、21日発表された。コロナ禍でもリアル開催を維持してきたとはいえ、制約の中で縮小を余儀なくされてきた。今年は会場を拡大し、上映本数も大幅増。ようやく海外からのゲストも来日できるようになり屋外でのレッドカーペットも復活と、映画祭らしい華やかさを取り戻せそうだ。 日比谷、有楽町、銀座エリア 10月24日から10日間 映画祭は10月24日から11月2日まで、今回も東京・有楽町、日比谷、銀座エリアの映画館を中心に開催。開幕作品の「ラーゲリより愛を込めて」(瀬々敬久監督)を東京宝塚劇場で上映し、劇場周辺のレッドカーペットをゲストが歩く。TOHOシネ...
ひとシネマ編集部
2022.9.23
北海道・白糠町で伝統的な鮭漁のマレㇷ゚漁をはじめとしたアイヌ文化を継承し、日常の中でアイヌプリ(アイヌ式)を実践する人々を追ったドキュメンタリー。監督は、「山女」(2023年)でTAMA映画祭最優秀新進監督賞を受賞、第76回エミー賞で史上最多の18部門を制したドラマシリーズ「SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)にも監督の1人として参加している福永壮志。 北海道・白糠町のアイヌの家族に密着し、祖先から伝わる鮭漁の技法や文化、信仰などを次世代へ伝承し、自らのルーツを大事にしながら今を生きる彼らの姿に迫る。
「トップガン マーヴェリック」の原案、ジャスティン・マークスが製作総指揮、真田広之プロデュース/主演。ハリウッドが描く、SHOGUNの座をかけた陰謀と策略渦巻く戦国スペクタクルドラマシリーズ。 ©2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks 「SHOGUN 将軍」はディズニープラスのスターで全話独占配信中 ※2024年6月現在の情報です。
「リベリアの⽩い⾎」(2015年)や「アイヌモシㇼ」(2020年)で、異なる民族や文化に焦点を当ててきた福永壮志監督が、本作の舞台として選んだのは18世紀の東北。柳田国男の「遠野物語」に収められた岩⼿県遠野地⽅に伝わる⺠話に着想を得て、劇作家の⻑⽥育恵との共同脚本でオリジナルストーリーを作り上げた。物語は、圧倒的な自然の力の前に無力な村社会、その閉鎖性と同調圧力、身分や性別による格差、貧しい生活を支える信仰の敬虔さと脆さを浮き彫りにし、一人の女性が自らの意志で人生を選び取るまでを描く。 主⼈公の凛を演じたのは、「⼩さな恋のうた」(2019年)で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新⼈賞受賞し、その後...