「北新宿2055」©9SARI GROUP

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2022.7.08

スクリーンで出会えた作品に 伊藤弘了

2022年もはや7月。上半期の映画界では、新作に加えてコロナ禍で延期されていた作品がようやく公開され、ヒットも続発。映画館のにぎわいも戻ってきた。ひとシネマ執筆陣が5本を選び、上半期を振り返ります。

伊藤弘了

伊藤弘了

①    「北新宿2055」(宮崎大祐監督)
②    「リング・ワンダリング」(金子雅和監督)
③    「サンライズ」(F・W・ムルナウ監督、1927年)
④    「東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B」(河瀬直美監督)
⑤     
 

旧作も誰かにとっての新作となるかもしれない

数字は順位ではなく鑑賞順。2022年上半期総決算であるにもかかわらず、映画祭で先行公開された作品や、生伴奏付きで再上映されたサイレント映画(旧作)を入れるのはいかにも行儀が悪い。だが、どのみちすべての新作映画を見られるわけではないのだから、その期間にスクリーンで出会えた作品には十分に資格があると思う(それもまた巡り合わせである)。同時に、再上映される旧作は常に誰かにとっての新作となる可能性があることも忘れないでおきたい。


「 東京2020オリンピック」 ©2022-International Olympic Committee- All Rights Reserved.

ほかによかった映画に「死刑にいたる病」(白石和彌監督)、「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督)、「トップガン マーヴェリック」(ジョセフ・コシンスキー監督)、「ベイビー・ブローカー」(是枝裕和監督)などがあるが、絞りきれなかった。見損ねた映画のための席を空けておく意味でも、あえて5番目は空欄のままにしておく。

感情を紡いだ美しい敗者の物語「東京2020オリンピック SIDE:A」:よくばり映画鑑賞術

壮絶な負け戦の記録 歴史の一瞬の閃き「東京2020オリンピック SIDE:B」:よくばり映画鑑賞術

インタビュー:河瀬直美 100年後の観客に思いをつなぐ「私が見た時代の記録」

ライター
伊藤弘了

伊藤弘了

いとう・ひろのり 映画研究者=批評家。熊本大大学院人文社会科学研究部准教授。1988年、愛知県豊橋市生まれ。慶応大法学部法律学科卒。京都大大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。大学在学中に見た小津安二郎の映画に衝撃を受け、小津映画を研究するために大学院に進学する。現在はライフワークとして小津の研究を続けるかたわら、広く映画をテーマにした講演や執筆をおこなっている。著書に「仕事と人生に効く教養としての映画」(PHP研究所)。


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