第二次世界大戦中の最後の官選沖縄知事・島田叡、警察部長・荒井退造を主人公とした「島守の塔」(毎日新聞社など製作委員会)が公開される(シネスイッチ銀座公開中、8月5日より栃木、兵庫、沖縄、他全国順次公開)。終戦から77年、沖縄返還から50年。日本の戦争体験者が減りつつある一方で、ウクライナでの戦争は毎日のように報じられている。島田が残した「生きろ」のメッセージは、今どう受け止められるのか。「島守の塔」を通して、ひとシネマ流に戦争を考える。
2022.6.14
映画「島守の塔」吉岡里帆演じる凜、絶望の中に見える一筋の光を手繰り寄せようとする姿。「ひめゆりの塔」にも出演の香川京子が命の尊さをつなぐ。予告編解禁。
鉄の暴風と言われた激しい空襲、艦砲射撃、上陸戦の絶望に追い込まれた太平洋戦争末期の沖縄戦。その中でなお「生きろ!」と後世に一筋の希望を託した2人の官僚と沖縄の人々の物語を映画化。「島守の塔」(7月22日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開)の予告映像と場面写真が解禁となりました。
このほど解禁するのは、国内最大の地上戦「沖縄戦」において、一人でも多くの沖縄県民の命を助けようとした萩原聖人演じる島田叡県知事と村上淳演じる荒井退造警察部長の苦悩と葛藤、そして絶望の中に見える一筋の光を手繰り寄せようとする吉岡里帆演じる凜の姿に、命の大切さがヒシヒシと伝わってくる胸に迫る予告映像となっています。
沖縄県の平和祈念公園にある「島守の塔」の石碑に向かい「わたし、生きましたよ」と手を合わせ感極まったようすの現代の凜(香川京子)から始まる映像。「俺は死にたくないから誰かが行って死んでくれとはよう言わん」と大切な家族を残して沖縄県に知事として赴任した島田と、同じく本土から赴任した荒井。そんな二人が、米軍の容赦ない攻撃の前に圧倒的な力の差を痛感していたにも関わらず、県民を犠牲にしてまでも時間稼ぎをしようとする日本軍に抗うようすが描かれます。最後の最後まで命がけで県民の命を最優先に戦った二人の姿は胸に迫るものがあるが、過酷な状況に二人が必死に立ち向かえば向かうほどに、際立つ戦争の悲惨さ。日本が勝つと信じて疑わなかった凛が、米軍の苛烈な攻撃を目にし、絶望の淵に突き落とされ自決しようとする姿は、多くの県民が沖縄戦で置かれた状況を物語っています。ヨーロッパをはじめとして、奇しくも世界が動乱の時代を迎えてしまっているこのタイミングで公開される映画「島守の塔」が語りかけるメッセージは、現代に生きる我々の心に深く突き刺さるはずです。約70年前に公開された、沖縄戦でのひめゆり学徒隊の悲劇を描いた映画「ひめゆりの塔」に出演の香川京子が、平和への思いを繋ぐために本作にも出演し、予告編のナレーションを務めています。