チャートの裏側

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2024.11.15

チャートの裏側:先行上映の狙いと実情

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

本興行ではないので、チャートには入らない。週末に行われた「室井慎次」の後編「生き続ける者」の先行上映のことだ。「ヴェノム:ザ・ラストダンス」も実施した。先行上映は、かつてはひんぱんにあったが、最近では機会が減っている。先行上映の中身も変わってきた。

変化は、シネコンが普及してから顕著になる。シネコン以前の映画館は単独型が多い。実施は通常の興行が終わってからの遅い時間帯だった。上映中の作品の回数を減らすわけにはいかない。今は午前中から夜までフルに上映する。多スクリーンだから、編成の融通性がきく。

設備の変化も大きい。増加したラージスクリーンで魅力が映える作品では、ここで集中的に先行上映を行う。「ヴェノム」がそうだ。ファンの早く見たい欲求を刺激する。「生き続ける者」の場合は「踊る大捜査線」のドラマ再放送(一部地域)もあり、話題作りに一役買った。

先行上映は作品を送り出す配給会社側にとっては、いろいろな意味合いがある。一方で、映画館側からすれば少々事情は違う。今は、毎週何本もの新作が公開される。数多い続映作品を含めれば、作品編成のやりくりが大変なのだ。そこに先行上映作品が加わってくると、さらに込み入ったことになる。先行上映と簡単に言うが、狙いや実情はなかなかに多岐にわたる。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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