「アウシュヴィッツの生還者」 © 2022 HEAVYWEIGHT HOLDINGS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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2023.8.18

「アウシュヴィッツの生還者」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

1949年、ニューヨーク。ナチスの強制収容所から生還してアメリカに渡り、ボクサーとして活躍しているハリー・ハフト(ベン・フォスター)。生き別れとなった恋人を見つけるため、人気ボクサーのマルシアノと対戦して有名になることを思いつく。その計画のために、記者(ピーター・サースガード)に収容所での経験を告白する。

ナチスの中尉が主催する賭けボクシングで同胞のユダヤ人と戦い、生き延びたというハリー。負けた者がその場で射殺される壮絶な過去のみならず、妻(ビッキー・クリープス)や子供たちにも語れなかった残酷すぎる秘密が、終盤で明かされる。

戦争の犠牲者であるはずの主人公が抱く罪悪感に焦点を当て、言葉を失うような実話を映画化したのは、「レインマン」などで知られるバリー・レビンソン監督。収容所での過去をモノクロで描いて現在と行き来しつつ、深い愛の物語へ着地させた。何より胸に迫るのは、28㌔減量したというフォスターの存在感。骨と皮だけの体で戦う肉体の説得力が、映画をすさまじいものにしている。2時間9分。東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

ここに注目

ナチスの非道さを描く作品は数多くあるが、本当にそんなことがあったのかと驚く一作。収容所から生還した喜びよりも生き残ってしまったことへの罪悪感に苦しむハリーの姿に、自分だったらどうするだろうと自問自答させられる。戦中と戦後のハリーを演じ分けたフォスターの肉体の変化が衝撃的。(倉)

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