「あの歌を憶えている」 繊細なスリルと驚きに満ちたミシェル・フランコ監督の新境地
断酒会に通いながらソーシャルワーカーとして働き、ひとり娘を育てているシングルマザーのシルビア(ジェシカ・チャステイン)。高校の同窓会で出会った、若年性認知症を患うソール(ピーター・サースガード)の面倒を見ることになる。シルビアは彼と過ごす時間に安らぎを感じるようになるが、あるトラウマを抱えていた。 「或(あ)る終焉(しゅうえん)」などで知られるメキシコ人監督、ミシェル・フランコのもとで実力派のハリウッドスターが共演。記憶を消したい女と記憶を失う男が、今この瞬間をいとおしむようになっていく過程を繊細に体現している。なぜシルビアが他者と関わらず、殻に閉じこもるように生きているのか。過酷な過去が明...