1990年代前半にブレークしてから約30年。類いまれな演技力でファンを魅了し続け、常にハリウッドの第一線を走るレオナルド・ディカプリオのキャリアと魅力をさまざまな角度から検証します。
2023.10.22
年齢と人生経験を重ねたレオナルド・ディカプリオの美しさを堪能できる作品たちをご紹介
美しさの定義はいろいろある。人それぞれ美しいと感じる対象も異なる。そのなかで、多くの人が共通して「美しい」と感じるのは、「美しい」と受け入れられるのは、実はものすごいことなのではないかと思う。レオナルド・ディカプリオが持つ〝美〟もそのひとつだ。
「ロミオ+ジュリエット」より © 2023 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
若かりし頃の〝完璧〟な美しさは「太陽と月に背いて」「ロミオ+ジュリエット」「タイタニック」で
このコラムでは20代のディカプリオを中心に、彼が演じた美しいキャラクターを振り返ってみたい。ディカプリオが主演・出演する映画タイトルは優に30を超えるが、そのなかで個人的に一番美しいと思う作品は「太陽と月に背いて」(1995年)。
詩人アルチュール・ランボーを演じている。21歳という若さゆえの美しさはもちろん、男も女も魅了する役。強烈に覚えている。残念なことに「太陽と月に背いて」は現在見ることができないが、その直後、22〜23歳のディカプリオには「ロミオ+ジュリエット」(96年)と「タイタニック」(97年)で出会うことができる。
この2本におけるディカプリオの美しさは、完璧な美しさだ。完璧というのは、ディカプリオ自身の美しさと、役の美しさと、そしてラブストーリーとしての美しさ、すべてがそろっているという意味での完璧。
ロミオとジュリエット、「タイタニック」のジャックとローズ、どちらの作品も運命的に出会い恋に落ちるが、その恋は許されない恋で、愛し合いながらも一緒に過ごせる時間は限られていて、そして未来には別れが待っている──。
くり返し見ても泣ける悲劇のラブストーリーであること、その主人公をあの年齢で2本続けて演じていることも完璧なタイミング。しかも「タイタニック」は歴史的大ヒットとなり、レオナルド・ディカプリオの代表作になった。
「ザ・ビーチ」より © 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
ブレーク後の「ザ・ビーチ」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」などで美形イメージ脱却を試みる
「タイタニック」の大ヒットによって、ディカプリオのもとにはすさまじい数のオファーが舞い込んだ。そのなかでディカプリオがとりわけ熱望した作品は「ザ・ビーチ」(2000年)だったという。一人旅をする青年が、とある出会いをきっかけに伝説の楽園を目指す。ラブストーリーに出ているディカプリオに恋した人にとって、「ザ・ビーチ」でのリチャード役は少々異色に映ったかもしれない。
25歳(公開時)のディカプリオは、もともとの美しさに大人の色気が加わり「やっぱり格好いいな」と納得させるだけでなく、「ザ・ビーチ」では、楽園で目にする人間の欲望、その渦に巻き込まれていく青年の狂気を演じた。
そう、ブラッド・ピットやキアヌ・リーブスでも触れたことだが、〝美〟をもてはやされた俳優がそのイメージから脱却しようと試みる、ディカプリオにとってその最初の一歩が「ザ・ビーチ」だったのではないかと。その選択からもディカプリオのキャリア設計を垣間見ることができる。
次にディカプリオが挑んだのはコメディーのジャンルだ。一般的にコメディーは難しいと言われるが、そこに挑んだ。ディカプリオ、28歳(公開時)。クライムコメディー「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」で、実在の天才詐欺師フランク・アバグネイルを演じた。
フランクは、パイロットに成りすまし、偽造小切手を使い、世界中を旅する生活を送っている。劇中、フランクが話術と自身の格好良さを利用するシーンが何度となく登場するが、ディカプリオ自身が自分の武器である美しさ=容姿を最大限に使って演じているのも伝わってくる。フランクを追うFBI(米連邦捜査局)捜査官を演じるトム・ハンクスとの相性も良かった。
「華麗なるギャツビー」より © 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
「タイタニック」から15年ぶりのラブストーリー「華麗なるギャツビー」は年齢を重ねた美しさがすてきだ
ディカプリオのフィルモグラフィーを見直して気づくのは、「タイタニック」以降、キラキラした王道ラブストーリーが見当たらないことだ。だからこそ「華麗なるギャツビー」(13年)は待望だった。「タイタニック」から15年ぶりのラブストーリー。しかも監督は「ロミオ+ジュリエット」のバズ・ラーマン。
演じるジェイ・ギャツビーは大富豪で、城のような豪邸で毎晩派手なパーティーを開催している。そのギャツビーのゴージャス感と、実はたった一人の女性を思い続けている大富豪の悲恋が、39歳(公開時)のディカプリオの年齢とキャリアにハマった。俳優と役柄は別物だと分かっていても、当時も現在も、プライベートでは独身のディカプリオにギャツビーを重ねると、より一層、しみるラブストーリーに映ってしまうのだ。
そして、新作の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」。この映画は、ディカプリオがこれまで演じてきた役、これまでの経験があってこそと思えるような、深い、とても深い演技を見せている。もちろん、ラブストーリーも組み込まれており、年齢を重ねたからこその美しさ、深みのある美しさがにじみ出ているディカプリオを目にする。そして思う。48歳のレオナルド・ディカプリオもまた、たまらなく美しいと──。
<画像使用作品一覧>
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
Blu-ray:2075円(税込み)/ DVD:1572円(税込み)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2023年10月現在の情報です。
「ロミオ+ジュリエット」
ディズニープラスのスターで配信中
2023年10月現在の情報です。
「ザ・ビーチ」
ディズニープラスのスターで配信中
2023年10月現在の情報です。
「華麗なるギャツビー」
Blu-ray:2619円(税込み)/ DVD:1572円(税込み)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2023年10月現在の情報です。