「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」© Universal Studios. All Rights Reserved

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2023.12.23

人生の苦難、心の闇……〝痛み〟引きずった作品たち SYO

2023年も、たくさんの映画や配信作品が公開されました。とても見切れなかった!とうれしい悲鳴も聞こえてきそうです。「ひとシネマ」執筆陣が今年の10本と、来る24年の期待作3本を選びました。年末年始の鑑賞ガイドとしてもご利用ください。

SYO

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ゆく年編


【劇場作品】
「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」
「イニシェリン島の精霊」
「逆転のトライアングル」
「ザ・ホエール」
「TAR/ター」
「aftersun/アフターサン」
「CLOSE/クロース」
「シック・オブ・マイセルフ」
 
【配信作品】
「BEEF/ビーフ 〜逆上〜」
「ザ・キラー」
 

強い何か残した外国映画

2023年はオフィシャルライターとして「ヴィレッジ」「シン・仮面ライダー」「キリエのうた」「市子」等々に携わりました。ということもあり、国内作品は外して選出しています。選出基準としては、鑑賞後に時間がたっても頭から離れなかった〝強い何か〟を感じた作品に絞りました。それでも10本だと正直足りませんでしたが……。自分の場合、最低でもベスト30くらいは必要だなと感じました(笑い)。
 
改めてラインアップを眺めると、スッキリとしない〝痛み〟を引きずった作品が多いようにも感じます。自分が映画に求めるものが娯楽性よりも、人生の苦難や、個人が実は当たり前に持っている闇深い心情をなかったことにしない共振性――の方にスライドしてきたのかもしれません(「ザ・キラー」は除く。あれは単純に映画館で見て最高だったので。とはいえ「待つ」行為を中心に殺し屋の日常を描くという意味では共通するかも)。〝食らう〟映画が多いので、鑑賞の際にはお気を付けて。


くる年編



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「PAST LIVES」
「AMERICAN FICTION」 
「DREAM SCENARIO」
 

しっとり、コメディー、そしてホラー

いずれも原稿執筆段階では未見ですが、楽しみにしている作品たちです。「PAST LIVES」は家庭の事情で離ればなれになった幼なじみの再会を描く、しっとりとした物語のよう。「AMERICAN FICTION」はステレオタイプな黒人描写小説が、作家の意志に反し爆売れしてしまう風刺コメディー、「DREAM SCENARIO」は、人々の夢の中に同じ人物が登場するようになったホラー?と聞いています。

【ひとシネマ的 ゆく年くる年 総まくり2023年】
面白い作品を満喫 悔いなき1年 高橋佑弥
日本映画に感じた「物作り」の力 洪相鉉
やっと戻った日常 心の琴線に触れた10本 後藤恵子

ライター
SYO

SYO

1987年福井県生まれ。東京学芸大学にて映像・演劇表現を学んだのち、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て2020年に独立。 映画・アニメ、ドラマを中心に、小説や漫画、音楽などエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。トークイベント、映画情報番組への出演も行う。

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