ひとりの少年の眼差しを通し、近代化が進む高度経済成長期と、かつてまだ人が自然への畏怖を持っていた時代が交錯して描かれる。監督・共同脚本は、「アルビノの木」(2016年)や「リング・ワンダリング」(21年)など、自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描いてきた金子雅和。岐阜出身の作家・松田悠八の「長良川 スタンドバイミー一九五〇」を原作に、長良川流域の土地・民話・伝承からインスピレーションを受けて物語をふくらませた。
物語の根幹を支えるお葉を演じるのは、Netflix映画「シティーハンター」のくるみ役を演じた華村あすか。お葉との悲恋の相手となる朔をNHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」の葵揚が演じる。また、物語の眼差しとなる少年・ユウチャと、お葉の弟の枝郎を有山実俊が一人二役で演じるほか、足立智充、山田キヌヲ、堀部圭亮、根岸季衣、渡辺哲、さらに「リング・ワンダリング」に続く金子作品への出演となる安田顕ら多彩な顔ぶれが共演する。
大きな川の上流にある山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せっていて、老いた祖母と暮らしている。自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。演目は、この土地に伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ恋に打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう。
第62回ヒホン国際映画祭のRetueyosコンペティション(長編1-3作目の監督作)で「ユース審査員最優秀長編映画賞」を受賞。
公開日: 2025年03月21日
光る川
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プロデューサー :
2024年 /日本 /108分
配給 :
公式サイト: https://www.culture-pub.jp/hikarukawa/
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