市井の人々の日常を通してイラン社会のリアルを描き続け、イラン政府から20年間の映画制作禁止と出国禁止を言い渡されたジャファル・パナヒ監督。それでも様々な方法で映画を撮り続け、2010年以降に本作を含めた5本の長編を撮った〝闘う映画監督〟。本作は、撮影で滞在していたイランの小さな村で起きたあるトラブルに、パナヒ監督自身が巻き込まれていくという物語。パナヒ監督は、イランの村からリモートで映画を撮影する監督役として主演を務める。自国イランでは上映禁止だが、第79回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を獲得した。

偽造パスポートを使って国外逃亡しようとしている男女の姿をドキュメンタリードラマとして撮影するため、国境付近にある小さな村からリモートで助監督レザに指示を出すパナヒ監督。さらに滞在先の村では、古いしきたりによって愛し合うことが許されない恋人たちのトラブルに監督自身が巻き込まれていく。2 組の男女が迎える、想像を絶する運命とイランの現状がパナヒ監督の目を通して浮き彫りになる。

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