若き見知らぬ者たち

公開日: 2024年10月10日

若き見知らぬ者たち

自主映画「佐々木、イン、マイマイン」(2020年)で新藤兼人賞をはじめとする新人賞や海外の映画祭を賑わせた内山拓也監督の商業長編デビュー作。上の世代が残してきた社会のツケのしわ寄せをくらい、将来に希望も持てない閉塞感の中で煮詰まった自意識の爆発を、色褪せていく記憶に抗い刻みつけようとする若者を描いた前作のマインドを受け継ぐ本作は、失われた人生に絶望することも、家族から逃れることもできない一人の青年が、背負ったものの重さと虚しさに飲み込まれながらも、自分の中にある最後の砦と向き合う生き様を描く。

高校時代はサッカーで前途有望だったにもかかわらず、一家を養うためにヤングケアラーとならざるを得なくなった風間彩人を演じたのは、「月」、「正欲」(いずれも23年)などの磯村勇斗。彩人の弟で、総合格闘技に人生を懸ける壮平を、「花束みたいな恋をした」(21年)やドラマ「ACMA:GAME アクマゲーム」などに出演する福山翔太が演じる。彩人の恋人で、風間一家の支えとなる日向は、「ケイコ 目を澄ませて」(22年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞や第77回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞した岸井ゆきの。彩人の親友で一児の父親になったばかりの大和を演じるのは、「陰陽師0」(24年)やNetflixドラマ「サンクチュアリ -聖域-」などの染谷将太。夫を亡くし、病気で自力での生活が難しい彩人の母・麻美には、「ドライブ・マイ・カー」(21年)の霧島れいか。また、国家権力を盾に傲慢な態度で街を取り締まる警察官の松浦は滝藤賢一。そして、彩人と壮平の父であり、元キャリア組の警察官ながらある事件がきっかけで身の上を狂わせる亮介を、「福田村事件」(23年)や「朽ちないサクラ」(24年)の豊原功補が演じている。

 死んだ父の借金返済に追われ、難病の母を介護しながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働く風間彩人(磯村勇斗)。弟の壮平(福山翔太)は、父の背中を追って始めた総合格闘技の選手として練習に明け暮れる。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、恋人の日向(岸井ゆきの)とのささやかな幸せを願う彩人。しかし、彼らの日常は、親友の結婚を祝う宴会の夜、思いもよらぬ暴力によって壊れていく。 

©2024 The Young Strangers Film Partners 

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2024年 /日本 /119分

公式サイト: https://youngstrangers.jp/

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